若山動物病院ブログ
犬と猫の鳴き方はなぜ違う?猫は長く犬は短い理由と声が変わる病気【探偵蒼太シリーズ】

ある日の午後。
探偵蒼太は、待合室で犬と猫の声を聞きながら、ふと首をかしげました。

探偵蒼太
おいどん先生、犬と猫って、どうしてあんなに鳴き方が違うの?

おいどん先生
たしかに犬は「ワン!」と短く聞こえることが多いし、猫は「にゃー」と語尾がのびる感じがするよね・
それは犬と猫で鳴き方が違うのは、「体のつくり」と「伝えたい目的」が違うためなの!
犬や猫の鳴き声は、ただの音ではありません。
そこには、体のつくり、伝えたい気持ち、そして体調の変化まで表れていることがあります。
今回は犬と猫ではなぜ鳴き方が違うのか、急に声が変わったときに何を考えるべきかを、やさしく説明します。
犬と猫の鳴き方が違う理由(猫は長い・犬は短い)
まず結論からいうと、犬と猫で鳴き方が違う理由は、大きく3つあります。
- 声を出す体のつくりが少し違う
- 相手に伝えたい内容が違う
- 人との関わり方が違う
つまり、どんな声を出しやすい体なのか、その声で何を伝えたいのかが違うため、犬と猫では鳴き方の印象が変わるのです。

探偵蒼太
じゃあ、「犬はワン、猫はにゃー」っていうのは、たまたまじゃないんだね

おいどん先生
そうなのよ!
ただのイメージではなくて、ちゃんと理由があるのよ。
犬も猫も、声はどうやって出しているの?
犬も猫も、声はのどにある声帯を使って出しています。
肺から空気が上がってきて、その空気が声帯をふるわせることで音が生まれます。
これは人間とほとんど同じです。
人も、のどを使って声を出していますよね。
ただし、声帯で作られた音が、そのまま聞こえるわけではありません。
音はそのあと、
- のど
- 口
- 舌
- 鼻
- あご
- 顔の空間
などを通るあいだに変化します。
たとえば人でも、同じ「あー」という声でも、子どもと大人では聞こえ方が違います。
また風邪をひけば声がかれます。
つまり、体のつくりや空気の通り方の違いで、声は変わるのです。
犬と猫でも同じで、のどや口のつくりの違いが、鳴き方の差につながっています。
猫の鳴き声が長くなる理由(にゃーが伸びるわけ)
猫の声は、犬に比べると、やわらかくて少しのびるように聞こえることが多いです。
その理由のひとつは、猫の鳴き声が気持ちやお願いを伝えるための声として使われることが多いからです。
猫はたとえば、こんなときによく鳴きます。
- お腹がすいた
- かまってほしい
- ドアを開けてほしい
- 不安だからそばにいてほしい
- 返事をしたい
このような場面では、
- 「ねえ」
- 「気づいて」
- 「お願い」
という気持ちを相手に伝える必要があります。
そのため、短く鋭い音よりも、やや長くのびる声のほうが向いているのです。

探偵蒼太
たしかに猫って、怒鳴るというより、話しかける感じがある。

おいどん先生
その通り。
猫の「にゃー」は、飼い主さんとの会話に近い役割を持っていることが多いんだよね。
猫は人に向かって鳴くことが多い
ここはとても面白いところです。
猫は、成猫どうしでいつも鳴き合う動物ではありません。
もちろん、威嚇や発情、ケンカのときには声を出しますが、犬のように群れの中で頻繁に合図を送り合うタイプではありません。
ところが、人と暮らす猫は、飼い主さんによく鳴きます。
- ごはんがほしい
- ついてきてほしい
- 起きてほしい
- 甘えたい
- 気づいてほしい
つまり猫は、人と暮らす中で、人に伝わりやすい鳴き方をよく使うようになったと考えられています。

探偵蒼太
じゃあ猫って、人に通じるように鳴いてるんだ。

おいどん先生
そう考えると、とてもわかりやすいね。
猫にとって「にゃー」は、人に向けたことばのようなものなんだよ。
だから猫の声は、気持ちを伝えるための、やわらかく長めの声になりやすいのです。
犬の鳴き声が短い理由(ワンと切れるわけ)
一方で犬の「ワン」は、短く、はっきりしていて、区切れるように聞こえることが多いです。
これは、犬の声がすばやく知らせるための声として使われることが多いからです。
犬はたとえば、こんなときに鳴きます。
- 誰か来た
- 何か怪しい
- 驚いた
- 興奮している
- 遊びたい
- 警戒している
こういう場面で大事なのは、細かい気持ちを長く伝えることよりも、今すぐ相手に気づいてもらうことです。
だから犬の声は、
- 短く
- はっきり
- 力強く
聞こえやすいのです。

探偵蒼太
なるほど。犬の声は「事件発生!」って感じなんだね。

おいどん先生
それはいい表現だね。
犬の「ワン」は、まさに注意を向けさせる声ってことなのね!
犬は「知らせる声」が得意な動物
犬はもともと、周囲の変化に反応し、すばやく知らせることが得意な動物です。
今の家庭犬は昔の野生動物とは生活が大きく違いますが、
- 周囲の変化に気づく
- 相手に伝える
- 反応を返す
という性質は、今も犬らしい特徴として残っています。
そのため犬の鳴き声は、「気持ちをゆっくり話す声」というより、合図や通知の声として発達してきたと考えられます。
つまり、犬と猫では声の役割が違う
ここまでの話をまとめると、こうなります。
猫の声
- 気持ちや要求を伝えることが多い
- 人に向かって使うことが多い
- 長めでやわらかく聞こえやすい
犬の声
- 合図や警戒に使うことが多い
- すばやく知らせるのが得意
- 短くはっきり聞こえやすい

探偵蒼太
猫「会話」で、犬は「お知らせ」ってことなんだね。

おいどん先生
そうね、そう理解してもらってOKよ!
もちろん、すべての犬猫が同じではありません。
猫でも短く鳴くことがありますし、犬でも「くーん」と長く鳴くことがあります。
でも全体としては、猫は気持ちを伝える声が多く、犬は知らせる声が多い。
この違いが、私たちの耳に「猫は長い、犬は短い」という印象を与えているのです。
猫の声は気分でかなり変わる
猫の「にゃー」は、同じように聞こえても意味がかなり違います。
- 高めで短い声 → あいさつ、軽い要求
- 長くのびる声 → 甘え、不満、強い要求
- 低くうなる声 → 怒り、恐怖、警戒
- かすれた声 → のどの異常、体調不良のことも
つまり猫の声は、感情の変化が出やすい声でもあるのです。

探偵蒼太
たしかに、同じ「にゃー」でも、急いでる感じの日と、甘えてる感じの日があるかも

おいどん先生
毎日一緒にいる人ほど、その違いに気づきやすいんだ。
そこがとても大切なんだよ。
犬の声も「ワン」だけではない
犬にも、いろいろな鳴き方があります。
- ワン! → 警戒、反応
- ワンワン! → 興奮、主張
- くーん → 甘え、不安、痛み
- キャン! → 急な痛み、驚き
- うー → 威嚇、緊張
つまり犬も、ただ単純に吠えているだけではありません。
鳴き方の違いで、かなり多くのことを伝えています。
声が変わるのは病気のサインのこともある
ここからがとても大切です。
鳴き方の違いは、性格や種類の違いだけでなく、体調の変化でも起こります。

おいどん先生
「声が変だな」と思ったとき、それが病気のサインであることもあるのよ。

探偵蒼太
ただのクセで終わらせちゃいけないことがあるんだね

おいどん先生
そう。
急に声が変わったときは、のどや鼻、気管、あるいは全身の不調が隠れていることがあるから注意しなくちゃね。
特に「声の変化+呼吸が苦しい」場合は、緊急性があることもあります。
また数日で自然に戻らない場合は、早めの受診が安心です。
喉頭炎
喉頭は、声帯があるのどの大事な場所です。
ここに炎症が起こると、声がかれたり、出しにくくなったりします。
よく見られる変化には、以下のようなものがあります。
- 声がかすれる
- 鳴き声が弱い
- 咳が出る
- のどを気にする
- 飲み込みづらそう
猫かぜなどの上部気道炎
特に猫でよく見られます。
鼻やのどに炎症が起きると、いつもの「にゃー」がかすれたり、出しづらくなったりします。
こんな症状が一緒に見られることがあります。
- くしゃみ
- 鼻水
- 目やに
- 声がかれる
- 食欲低下
猫は鼻がつまると匂いがわかりにくくなり、食欲も落ちやすくなります。
喉頭麻痺
これは特に犬で問題になることがある病気です。
のどの動きがうまくいかず、空気の通り道が狭くなります。
- 声が弱くなる
- 鳴き声が変わる
- 呼吸がガラガラする
- 暑い日や興奮時に苦しそう
この病気では、声の変化に加えて呼吸の異常が出ることがあるのが重要なポイントです。
気管虚脱
小型犬で見られることがある病気です。
気管がつぶれやすくなり、のどの音や呼吸音が変わります。
- ガーガーした咳
- 興奮で悪化
- 首輪で悪化
- 息苦しそう
- 声や呼吸音がいつもと違う
飼い主さんから見ると、「鳴き声やのどの音が変」と感じることがあります。
ポリープや腫瘍
のどや鼻の奥、口の中にできものがあると、空気の通り方が変わり、声の響きが変化することがあります。
- だんだん声が変わる
- いびきのような音が増える
- 飲み込みにくい
- 食べにくい
- よだれが増える
- 口臭が強い
このようなときは、年齢のせいだけと決めつけずに確認が必要です。
痛みやストレスでも声は変わる
声の変化は、のどの病気だけで起こるわけではありません。
痛みや不安、強いストレスでも鳴き声は変わることがあります。
- どこかが痛い
- 不安が強い
- 呼吸が苦しい
- 高齢で弱っている
こうしたときには、急によく鳴くようになったり、逆に鳴かなくなったりします。

探偵蒼太
つまり声って、のどだけじゃなくて、その子全体の状態が出るんだね。

おいどん先生
そうなの。
だから声の変化は、体全体からのサインとして見てあげることが大切ってことね!
こんなときは受診を考えましょう
次のような変化があるときは、受診を考えたほうが安心です。
- 急に声がかれた
- 鳴いても声が出ない
- いつもとまったく違う声
- 咳やくしゃみがある
- 鼻水や目やにがある
- 食欲が落ちた
- 元気がない
- 呼吸が苦しそう
- 数日たっても戻らない
特に、声の変化と呼吸の異常が一緒にあるときは注意が必要です。
獣医師おいどん先生から
猫の声が長く聞こえやすいのは、人に気持ちやお願いを伝えることが多いから。
犬の声が短く聞こえやすいのは、合図や警戒をすばやく伝えることが多いから。
そして、急に声が変わったときは、喉頭炎、猫かぜ、喉頭麻痺、気管虚脱、ポリープ、腫瘍などの病気が隠れていることもある。
今日から犬や猫の声の聞き方に、注意してみましょう!
そして「かわいい声だな」で終わらせず、この子は何を伝えたいのかな?いつもと違わないかな?と考えてあげることが、健康を守る第一歩です。
まとめ
犬と猫で鳴き方が違うのは、体のつくりと伝えたいことが違うからです。
猫は、人に気持ちやお願いを伝えるために、長めでやわらかい声を出すことが多くあります。
犬は、合図や警戒をすばやく伝えるために、短くはっきりした声を出すことが多くあります。
そして大切なのは、急に声が変わったときは病気のサインかもしれないということです。
声の変化に、呼吸の異常、食欲低下、元気消失が重なるときは、早めの相談が安心です。
動物たちは言葉で説明できないからこそ、鳴き声はとても大事な手がかりになります。
そして「いつもと違う声」に気づけることが、早期発見につながります。
よくある質問
猫の鳴き声が長いのはなぜですか?
猫は人に気持ちや要求を伝えることが多く、やわらかく長めの声になりやすいからです。
犬の鳴き声が短いのはなぜですか?
犬は警戒や合図をすばやく伝えることが多く、短くはっきりした声になりやすいからです。
急に声が変わったら病気ですか?
病気の可能性があります。
喉頭炎、猫かぜ、喉頭麻痺、気管虚脱、ポリープ、腫瘍などが原因になることがあります。
声の変化だけでも受診したほうがいいですか?
急な変化や、数日続く変化、呼吸異常や食欲低下を伴う場合は受診をおすすめします。
猫が鳴かなくなったのは異常ですか?
病気やストレス、老化が関係することがあります。
急な変化は注意が必要です。
探偵蒼太シリーズ

犬や猫の「吐く・下痢・食べない・元気がない」など様々な症状から原因、受診の目安など、病気を探る蒼太探偵シリーズです。
中学2年生の「蒼太」と女性獣医師の「おいどん先生」、蒼太の同級生の「結衣」が、受診の目安や危険なサインをわかりやすく解説します。
【犬編】
・犬の下痢は大丈夫?原因・危険な症状(血便・水様便)と受診の目安
・犬が食べない?原因と危険な症状・受診の目安
・犬が吐いた?原因と危険な症状と受診の目安
・犬が元気がない?原因・危険な症状と受診の目安
【猫編】
・猫がごはんを食べたいのに食べない原因は?口内炎の症状と受診の目安
New・春になると、なんだか不調?猫の免疫が乱れる原因と守る生活習慣
次回UP・猫が食後すぐ吐く?それは吐出かも|原因・受診の目安・嘔吐との違い
【犬猫編】
New・犬と猫の鳴き方はなぜ違う?猫は長く犬は短い理由と声が変わる病気
【今後の予定】
・猫がジャンプしない?原因と注意すべき症状・受診の目安
・犬と猫はどうして座り方が違うの?
・犬と猫の鳴き方はなぜ違う?猫は長く犬は短い理由と声が変わる病気
・犬の歩き方がおかしい?前足の原因と危険な症状(びっこ・足をつかない)と受診の目安
・犬の歩き方がおかしい?後ろ足の原因と危険な症状(ふらつき・足をつかない)と受診の目安
・犬の歩き方がおかしい?前足・後ろ足の原因と危険な症状(びっこ・ふらつき)と受診の目安
・犬の治らない下痢、お腹の病気じゃなかった?原因は副腎腫瘍だった話