Dr.Nyanのすこやかコラム
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子猫が下痢や血便?それコクシジウム症かも?症状・原因・治療と受診の目安

子猫が下痢をしていて、痩せてきた、食欲も落ちている。
このような症状がみられたら、お腹の中に寄生虫がいる可能性があります。
猫のコクシジウム症とは、腸に寄生する原虫によって下痢や血便を起こす病気です。
この記事では、猫コクシジウム症の症状、原因、感染経路、治療法、費用、予防法まで、飼い主さんにわかりやすく解説します。
飼い主
せんせい〜!
新入りの子猫が下痢で、お腹も張ってつらそうなの!
Dr.Nyan
お腹の中に寄生虫がいる可能性もあるね。
まずは便検査で確認してみよう!
コクシジウム症とは?
飼い主
目に見えないのに、どうやって気づくんですか?
Dr.Nyan
便検査で見つけるよ。下痢が続く子猫は必ずチェックだね

コクシジウムが見つかりました!
コクシジウムは「原虫」と呼ばれる非常に小さな寄生生物で、肉眼では見えず、顕微鏡による便検査で確認します。
猫に感染するコクシジウムは、基本的に人には感染しません。
ただし、原虫の仲間には猫から人に感染するトキソプラズマもあるため、混同しないように注意が必要です。
コクシジウム症の症状
健康な成猫では、コクシジウムに感染しても症状が出ないことがあります。
しかし、子猫やストレス、栄養状態の低下などで免疫力が落ちている猫では発症しやすく、下痢や血便、嘔吐、体重減少などの症状がみられることがあります。
Dr.Nyan
コクシジウムに感染しても症状が出ないことはあります。
ただし、子猫では重症化することもあるので注意が必要です。
下痢・血便・嘔吐などの消化器症状
コクシジウムに感染して発症すると、粘液便、下痢、血便、嘔吐などの消化器症状がみられます。
下痢が長引くと食欲が低下し、脱水や体重減少、栄養不良、貧血につながることもあります。
特に子猫では症状が重くなりやすく、ぐったりする、発育が悪くなるといった変化がみられることもあります。
一般的には感染後およそ1週間前後で症状が出ますが、幼い猫では3~4日ほどで症状が現れることもあります。
リスク先生
他の寄生虫や細菌と一緒に感染すると、一気に重症化するリスクがあります
混合感染で重症化
他の寄生虫などと混合感染してしまうと、症状がなかなか改善しないことがあります。例えば、猫回虫などの寄生虫が感染している場合などです。
混合感染を起こすと、場合によっては入院での治療が必要となります。
また消化器症状を起こす細菌やウイルスの感染も、同様に注意が必要です。腸内の細菌バランスの悪い場合などでも、症状の悪化が見られることが多々あります。
特に子猫への感染は簡単に重症化しやすく、死に至ってしまうこともあります。そのため子猫の下痢には、十分に注意しなくてはなりません。

飼い主
ちょっとの下痢でも大丈夫と思ってました…
Dr.Nyan
子猫の下痢は軽く見ないことが大切だよ
コクシジウム症の原因
猫のコクシジウム症は、主に Cystoisospora felis や Cystoisospora rivolta という原虫が小腸に感染することで起こります。
これらは猫に感染するコクシジウムであり、犬や人には感染しません。
コクシジウムは非常に小さいため、肉眼で見ることはできません。
診断には便検査が必要です。
下痢が続く、何度も繰り返す、子猫の便の状態が不安定といった場合には、早めの検査が大切です。
猫コクシジウム症の感染経路|口から感染する

飼い主
トイレを一緒に使うだけでもうつるんですか?
Dr.Nyan
そう、特に多頭飼育では広がりやすいポイントだね
感染した猫の便の中には、「オーシスト」と呼ばれるコクシジウムの感染源が排出されます。
このオーシストは、便として排出された直後はまだ強い感染力を持ちませんが、環境中で1~2日ほど経過すると感染性を持つようになります。
猫がこの感染性オーシストを口にすることで、コクシジウム症を発症します。

感染性オーシストです!
コクシジウムのオーシストを猫が口にしたら、オーシストは猫の腸の細胞の中で成長し分裂します。オーシストが増えるに従い、猫の腸の細胞は壊れていき様々な症状を出してきます。
分裂した新たなオーシストはウンチと一緒に体の外に出て、他の猫への感染の機会を待つようになります。
汚染されたものからの感染
オーシストで汚染された食器や水入れ、共有トイレなどを介して感染することがあります。多頭飼育では、トイレや食器の共用によって感染が広がりやすくなるため注意が必要です。
他の動物からの感染
オーシストを口にした他の小動物が体内にコクシジウムを保有し、その動物を猫が捕食することで感染することがあります。

飼い主
薬を飲めばすぐ治るんですか?
Dr.Nyan
しっかり期間通り続けることが大切だよ
猫コクシジウム症の治療法と治療費
Dr.Nyan
感染の確認には、便検査が必要だよ!
コクシジウムと他の寄生虫や感染症を併発してしまうと、重症化することもあるなど厄介な事になります。しかし一般的には、コクシジウムは適切な治療で改善が期待できると言われています。
駆虫薬
治療には、主にコクシジウムに対する駆虫薬を用います。
代表的な治療薬のひとつがサルファ剤で、一定期間継続して投与することで治療を行います。
また、トルトラズリルはコクシジウムに高い効果が期待される薬です。
ただし、日本では猫用医薬品として承認されていないため、使用にあたっては獣医師の判断のもとで慎重に対応します。
当院では、猫の状態を確認しながら適切な方法で治療を進めています。
しかし猫に対して高い効果が期待されるため、効能外使用ですが当院では使用しています。猫への投薬は院内で行い、飼い主さんにお渡し投薬して頂くことはしません!
駆除が完全に行われたかの確認のため、幾度かウンチの検査を行う必要があります。
抗生剤や輸液剤の投与
嘔吐や下痢、また発熱や元気・食欲が落ちてるなどの症状がみられたなら積極的な治療が必要です。症状によっては、抗生剤や輸液剤などを使用した治療を行います。
消化の良いフードを食べさせ栄養をつけることも大切です。また体を冷やさないなどの処置も行います。
治療費
治療費は、感染の程度、体重、使用する薬、治療期間によって異なります。
目安として、便検査と駆虫薬による基本的な治療で4,500円前後となることがあります。
ただし、混合感染や重度の下痢・脱水、食欲不振などを伴う場合には、追加の検査や点滴治療、内服薬が必要となり、費用が高くなることがあります。
コクシジウム症の予防方法
定期的なウンチの検査
定期的にウンチの検査を行い、コクシジウムの早期発見とコクシジウム症の早期治療を心がけます。
コクシジウムは、1回のウンチ検査では発見できないこともあります。そのため間隔をあけて、幾度もウンチ検査を行う必要があります。
Dr.Nyan
少しの工夫で、感染予防や重症化の予防につながります!
清掃の徹底
コクシジウムは、感染した猫の便に含まれるオーシストを介して広がります。
便が時間の経過とともに感染源になるため、排便後はできるだけ早く処理し、トイレを清潔に保つことが大切です。
隔離を行う
新しい猫が来た場合には、感染が無いことが確認できるまでは先住猫と接触させないようにします。また感染した猫がいる場合には、ウンチの中にオーシストが検出されなくなるまでは隔離しておきます。
~Dr.Nyan ポイント~
感染拡大を防ぐために!煮沸消毒をしよう
猫の体の外に出たコクシジウムのオーシストは、一般的な消毒薬では死滅しません。感染した猫が使用した毛布などの消毒には、熱湯が良いと言われています。
熱湯が使えない場合には、60℃程度のお湯に30分以上浸ける方法も有効とされています。
コクシジウム症は人にうつる?
猫のコクシジウムは基本的に人には感染しません。
ただし、衛生管理は重要であり、排泄物の処理後は必ず手洗いを行いましょう。
猫コクシジウム症が見られる猫の特徴
- 多頭飼育の環境で暮らしている猫
- 外に出る機会がある猫
- 子猫
- 保護直後の猫
- 下痢が続いている猫
猫の寄生虫まとめ
・猫のジアルジア症
・猫のマンソン裂頭条虫症
・猫の回虫症
・猫のフィラリア症
・猫の腸トリコモナス症
よくある質問(FAQ)
猫のコクシジウム症は人にうつる?
猫のコクシジウムは基本的に人には感染しません。
ただし、排泄物の処理後は必ず手洗いを行い、トイレや周囲を清潔に保つことが大切です。
猫のコクシジウム症は自然に治る?
軽度で自然に改善することもありますが、特に子猫では重症化することがあります。
下痢や血便、食欲低下が続く場合は、早めに動物病院で検査を受けましょう。
猫のコクシジウム症はどうやって診断する?
主に便検査で診断します。
コクシジウムは肉眼では見えないため、顕微鏡でオーシストを確認して診断します。
1回で見つからないこともあるため、複数回検査することがあります。
猫のコクシジウム症の治療費はどのくらい?
症状や体重、治療内容によって異なりますが、
便検査と駆虫薬による基本的な治療で4,500円前後が目安です。
重症の場合は追加治療により費用が増えることがあります。
リスク先生
子猫の下痢が続く場合、命に関わるケースもあるため早めの受診が重要です
まとめ
子猫の下痢や血便の原因として多いコクシジウム症は、適切な検査と治療で改善が期待できる病気です。
しかし、子猫では重症化しやすく、放置すると脱水や衰弱につながることもあります。
特に
・下痢が続く
・血便がある
・元気や食欲が落ちている
このような場合は、早めの受診が重要です。
「少し様子を見よう」が悪化のきっかけになることもあるため、気になる変化があれば早めにご相談ください。
筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

本記事は、犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。
これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。
本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。