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【ジアルジア症】猫のジアルジア症とは?症状や治療法を解説

せんせい〜
仔猫たちがチョット前からピーピーなの
しかもウンチに血も混じってるし
お腹も痛いって!

そのような症状が見られたら「お腹の中で何か悪いこと」が起こっています。

まず最初にウンチの検査からしてみようね!
お腹の中に虫が寄生しているかもだよ!

先生!ジアルジアですよ!
ジアルジアに感染してます!

ジアルジア感染結果

ジアルジアに感染すると青い点が二つ以上出ます!

ん?これ何?
これでジアルジアが寄生しているの、わかるのね!

ウンチの抗原検査で「ジアルジア」が見つかりました!
あまり聞きなれない名前ですが、ジアルジアは小腸に住む原虫です。
しかし結構、感染している子猫が多いんです!

ジアルジアのポスターの様子

思ったより感染の多いジアルジアです。

ちなみ原虫とは、1つの細胞(単細胞)からなる感染症を起こす微生物です。
では「ジアルジア症」の原因や対処法について、Dr.Nyanが説明しますね。

目次

ジアルジア症の症状

ジアルジアという原虫が感染して起こる病気が、ジアルジア症です。

ちなみに日本では、ヒトに感染した場合には医師が診断した日から7日以内に保健所に届け出ることが必要なんです!それだけ怖い病気とも言えます!

ジアルジアの感染は・・・
直接的、もしくは間接的に「口から入る」ことにより起こります。

ただ健康で免疫力にも問題がない場合には・・・
ジアルジアに感染しても発症することが少ないとも言われています。
しかし免疫力の弱い幼齢や老齢、特に幼若齢の場合には発症してしまうことがあります。

免疫力が高いと・・・
ジアルジアに感染しても何の症状も見られない
そんなこともあるんだよね!

ではどんな症状が出たら注意が必要なのか、一緒に確認していきましょうね!

下痢などの消化器症状

多くの寄生虫が大腸に寄生するのに対して、ジアルジアは小腸に寄生します。

成猫では感染しても発症せず、無症状でいることがあります。
しかし仔猫や免疫力は落ちている場合には、感染すると発症してしまうことが多いとされます。

感染し発症すると腸炎を起こし、以下のような症状が見られるようになります。

  • 激しい下痢
  • 治っても繰り返す下痢
  • 吐き気や元気・食欲不振
  • 水のような下痢便
  • 血混じりの便
  • 粘液便
  • 脱水

下痢になると元気が無くなり、食欲までもが落ちてしまいます。
また下痢により肛門に違和感を感じためか、肛門周囲を舐めてしまうこともあります。
そのため、肛門周囲が赤くなってしまいます。
また、その部分の炎症を起こし腫れてしまうこともあります。

激しい下痢から、ついつい力み過ぎてしまいます。
そんな「しぶり」や「いきみ」のため、腸が肛門から飛び出てしまうこともあります。
この状態を「脱肛(直腸脱)」と言います。

混合感染を起こしてしまう

ジアルジアに感染している場合、同時にその他の原虫にも感染していることがあります。
例えば、トリコモナスやイソスポラなどです。
また回虫や細菌、ウイルスなどにも感染してしまっていることもあります。
そのよう場合には、症状の激しく悪化してしまいます。

混合感染している場合には、ジアルジアを治療しても症状が治りきりません。
そのよう場合には他の寄生虫や病気を探し出し、治療を行う必要があります!
特に消化器症状を起こすパルボイルスやコロナウイルスなどの感染には、十分に注意が必要です。

特に仔猫では重症化しやすく、入院での治療が必要となる場合もあります。
しかも激しい症状や混合感染している場合には、亡くなってしまうこともあります。

ジアルジア症の原因

ジアルジア症の原因は、ジアルジアの感染です。
ジアルジアは細菌よりは小さいため、顕微鏡でないと見ることができません。
そんな小さなジアルジアは猫だけでなく、犬やヒトなど多くの動物にも寄生します。

口からの感染

ジアルジアは腸の中に住むため、ウンチと一緒に体の外へと排泄されます。
そのジアルジアの居るウンチを直接舐めてしまい、感染してしまいます。
また足や被毛などに付いてしまったウンチを、間接的に舐めてしまい感染します。

このような感染を「経口感染」と言います。

ウンチと一緒に出たジアルジアは、環境の条件によっては数日間は生きていると言います。
そのため感染のチャンスも増え、感染の機会は広がってしまいます。

また感染している猫を屋外に出てしまう場合には、外にウンチを放置してしまいます。
放置されたウンチは、時間が経つと形が無くなりわかりづらくなってしまいます。
そのため他の猫がジアルジアに感染してしまう、そのような危険があります!

下痢などの症状が無い = 感染していない
そうではありません!
感染していても無症状の猫もいます。

そうなんですよね!
無症状だからと安心していたら、感染を広げてしまう・・・
それって怖く無いですか?

ジアルジア症の主な治療と費用

ウンチの検査(検便)を行い、ジアルジアに感染しているかを調べます。

一般的なウンチの検査では、ジアルジアの検出率が決して高いとは言えません。
つまり検便を1回してジアルジアが見つからなかったからと言って、陰性とは言い切れません!

検出率を上げるには、持参された便ではなく肛門から直接採取した便を検査することです。
しかし、それでも見つからないことも多々あります。
そのためジアルジア症を疑う場合には、繰り返してウンチの検査を行う必要があります。

現在ではウンチの検査も行いますが、さらにジアルジア抗原検査を行なっています。
この検査は、顕微鏡検査よりも正確な診断が出来ます!

ジアルジア抗原検査の様子

左がジアルジア陰性、右がジアルジア陽性です!

ジアルジア症を発症した場合、他の寄生虫や細菌との混合感染もあります。
もし混合感染が見られたなら、それらの治療も併せて行う必要があります。

抗菌剤の投与

ジアルジアの治療には、主にメトロニダゾールを投与します。

メトロニダゾール錠

このメトロニダゾールには、とても大きな欠点があります!
それは猫が嫌う味と言われる「苦味」です。
そのためメトロニダゾールを飲ませる時には、十分に注意することが必要になります。

もしこの苦味を味合わせてしまうと、結構大変なことになってしまいます。
まず、泡を口からグクグクと吹きます。
また場合によっては、涎をダラダラと流してしまいます。

しかもこの状態は口の中の苦味が消えるまでの間、続いてしまいます。
こんなにも涎って出るものかと、驚くほど流れ出ます!

メトロニダゾールは錠剤なので、体重に合わせて割って飲ませる必要があります。
飲ませづらいからと粉にして飲ませると、苦味をさらに感じやすくなります。
そのため飲ませる際には、何らかの工夫を必要とします!

うまく飲ませられない
そのような場合にはご相談くださいね!

投薬中に下痢などの症状が、見た目には治ってしまうことがあります。
このような場合でも、薬を飲ませるのを途中でやめてはいけません。

その症状が治っても、ジアルジアが体の中から消えたとは言えない場合もあります。
そのためジアルジア検査を繰り返し行い、状態を確認する必要があります!
薬は、必ず投与期間を守ることがとても大切です。

対処療法を行う

ジアルジア症は重度の下痢を起こすことも多いため、脱水してないか体の水分の状態を確認することが必要です。脱水を起こしている場合には、水分補給を行います。

また吐き気があったりなどで、水を飲ませることが難しい場合もあります。
そのような場合には、輸液を行うなどの治療が必要となります。

またジアルジア症は、下痢以外の症状を起こす場合もあります。
その場合には下痢も含め、全身の状態に合わせた治療を行う必要があります。

下痢が続くと体温が下がます。
そのような場合には保温をしましょうね!

吐き気があれば吐き気どめを、また感染があれば抗生剤や抗菌剤を使います。
腸内の環境が乱れている場合には、崩れた環境を整えるために整腸剤を使います。
食欲が無く食べない場合には、強制給餌を行う必要もあります。

ジアルジア症の予防

ジアルジアを含むウンチからの直接的な感染、または間接的な感染がほとんどです。
そのため感染している猫のウンチの扱いを慎重に行い、十分に注意する必要があります。

屋内飼育の徹底

ジアルジア症は、ウンチとの接触が原因となり起こります。
そのため、絶対に猫を外に出さないことが予防につながります。

また新しい子を向かい入れた場合にも、注意が必要です。
その子に感染が無いことが確認できるまでは、隔離しておきます。

チョットした注意が予防に繋がります。
また重症化も防げますよ!

掃除を徹底する

ウンチは素早く片付けることが大切です。
また使用していたトイレや敷物などはよく洗い、清潔に保つために掃除を徹底します。

多頭飼いの場合には、トイレの数を増やすことも重要です。

トイレの様子

大きなトイレを多数置いてみました。

猫の性格として
猫の習性は、ヒトが思っているのとは違います。
猫はウンチで汚れているトイレは、何も気にせず使います。
しかしオシッコで汚れたトイレを使うのは、とっても嫌なんだそうです。
気にしないで使うからって、トイレ掃除をサボルのは危険かもですヨ

隔離を行う

ジアルジアに感染した猫と同じ環境での生活は、他の猫への感染の危険があります。
そのため感染している猫とは隔離しなくてはなりません。

自宅での消毒方法

ジアルジアの消毒には、以下のような薬剤が有効とされています。

  • 次亜塩素酸ナトリウム
  • ポビドンヨード
  • 塩化ベンザルコニウム

健康診断を行う

定期的に検便を行い、早期の発見と治療を心がけます。

ジアルジア症を起こしやすい猫種

猫種には関係なく感染します。
そのため上記の予防方法を実践して下さいね!

  • 外に出ている猫
  • 幼齢期の子猫
  • 老齢の猫
  • 免疫力が弱まっている猫

まとめ

「予防に勝る治療は無い!」と言われています。
そのため定期的なウンチ検査を行うことが、とても大切です。
もし気になる事があれば、早めにご相談くださいね!
少しでも安心して暮らせるよう、お手伝いをいたします!

トイレの様子

トイレから出られない・・・