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若山動物病院ブログ

吸収病巣

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

6月から新しい歯科治療が始まり、ますます歯の悩みで来院される方が多くなりました。
特に猫ちゃんでは症状として口腔内の痛みが強くでている子が多く、ご飯を食べたりお水を飲んだりすることが大変な子も多くいます。

口腔内の痛みを出す猫ちゃんの病気にはいくつかあります。

  • 歯周病
  • 口内炎
  • 吸収病巣
  • カリシウイルス感染症
  • 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
  • 悪性腫瘍
  • 好酸球性肉芽腫群

猫ちゃんの口腔内の病気で特に気をつけなければならないのは『吸収病巣』です。


『吸収病巣』とは、歯が吸収されて骨に置き換わってしまう病気で、3歳以上の猫ちゃんの約50%が罹っていると言われています。

吸収病巣
赤矢印が『吸収病巣』により歯が溶けて穴が開いてしまっている場所

それだけ多くの猫ちゃんが罹っているにも関わらず、ほとんどの飼い主さんは吸収病巣に気付けずにいます。
その理由として猫ちゃんが口の中を見せることに協力的じゃないことも挙げられますが、それ以外に歯周病との判別が難しいことにあります。

歯科処置前
赤丸部分に歯石がついています

さらに吸収病巣に罹っている猫ちゃんの口腔内は、他の歯科疾患の子に比べて歯石が多くみられます。
歯石があることで溶けた歯を直接確認することができず、歯石をとったら実は吸収病巣だったなんてことも。

歯科処置後
歯石を外したら吸収病巣で歯が溶けていました

『吸収病巣』の根本的な原因は解明されておらず、吸収病巣による強い痛みや口腔内の不快感は歯が完全に吸収されるまで続きます。
吸収病巣による痛みの解消には、原因となっている歯を抜歯するのが一番だとされています。
痛みによる辛い時間を少しでも減らし、多くの歯を残してあげるためにも早期発見は大切です。

吸収病巣の症状

  • 口臭
  • 口を痛そうにしている
  • ヨダレが多い
  • 口元を触ると嫌がる
  • 歯肉が赤く腫れている
  • 歯ぎしりをする
  • 食べるスピードが遅くなった
  • 食べ方が変わった
  • 口を気にしたり擦ったりする
  • 前肢がヨダレで汚れている
  • 歯みがきを嫌がるようになった


『吸収病巣』には有効な予防法はありません。
お家での適切なデンタルケアや定期的な歯科健診で早期発見・早期治療に繋げていきましょう。


『Dr.Nyanのすこやかコラム』で吸収病巣について詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。

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