若山動物病院ブログ
秋の健康診断も終わりに
9月から始まった秋の健診が、終わりました。
今季も多くの飼い主さんの健康に対する意識の高さに、感銘いたしました。
健診の結果を説明する際には、結果を説明するだけでなく家でできる「未病・再発対策」をお話ししています。
その甲斐あって、飼い主さんたちの未病に対する知識が深くなってきています。
これこそ、健康診断の意義とも言えます。
ワンちゃん猫ちゃんの健康増進と、飼い主さんの知識量のUP!
また今年の健康診断では、多くの猫ちゃんに心筋症が見つかりました。
うちの爺ちゃん心臓が悪くてね、時たま苦しそうにしてるの
しかもうちのワンコも心臓の薬飲んでいるのよ!
猫ちゃんも飲むのかしら?
あらぁ・・・
猫で、心臓病の薬を飲んでるなんて聞かないわよ?
ヒトやワンちゃんでは、心臓病になり薬を飲むことがあります。
しかし猫ちゃんでは、そんな話を聞くことは少ないと思います。
それって心臓病がワンちゃんに多くて、猫ちゃんには少ないのでしょうか?
いやいや、それは違いますよ!
今年も猫ちゃんの多くが、心臓病で亡くなりました。
実は猫ちゃんの心臓病は、ワンちゃんの心臓病のように咳などの症状が見られません。
しかも呼吸が苦しいなど重症化するまで、気が付かないことも普通なんです!
なんせ猫ちゃんは寝てることが多い動物ですから、症状がよくわからんのです!
猫ちゃんに多いのが心臓の壁が分厚くなってしまう「肥大型心筋症」です。
肥大型心筋症になると、心臓から血液をちゃんと送り出せない状態になってしまいます。
猫ちゃんに多い心筋症は、心臓のバイオマーカーである血液中の「NT-proBNP」の濃度を調べます。
このNT-proBNPは、心臓に負担がかかると検査値が高く出るからです。
心臓病であるにかかわらず、症状が良くみえ居ない!
だからこそ早期発見のためには、健康診断でのNT-proBNP検査が有効になります。
そして心筋症以外に猫ちゃんに多かったのが甲状腺機能亢進症と、慢性腎臓病・・・
ここで問題は、甲状腺機能亢進症で腎臓病を併せ持つ場合でした。
甲状腺機能亢進症になると血圧が上がり、腎臓へ流れる血液の量が増えます。
その結果、腎臓病であっても腎臓病の症状が見られないことがあります。
それは甲状腺機能亢進症が、腎臓病=腎不全の状態を隠してしまっているからです。
そのため甲状腺機能亢進症を治療すると・・・・
高かった血圧が下がり、その結果腎臓へ流れる血液の量が少なくなります。
そうなると腎臓病があたかも発症したかのように、また悪化してしまったように見えてしまうのです。
猫ちゃんの心筋症、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病にはお互いに関係があるので、注意が必要なんですよ!
つまり甲状腺機能亢進症であれば、心臓や腎臓の状態を調べなむくちゃ、なんです。
もちろん心筋症であっても、同様のことが言えます。
そのようなことからも、総合的に体の中をチェックする健康診断が大切になります!