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若山動物病院ブログ

肝臓と膵臓と腎臓が壊れた

水を1日に1000mlは飲む多飲多尿の状態、しかも急に立てず元気も食欲も無い・・・
そんな体重が5kgにも満たない子の話です。

その子を検査してみると、まず見つかったのは肝臓の腫瘍でした。

肝臓は沈黙の臓器とも言いますから、肝臓が悪くなっても症状がなかなか出てきません。
ただ肝臓が悪くなると、「糖尿病」を起こしやすくなるとも言われます。
また糖尿病に気が付かないままでいると「腎不全」にまでなってしまいます。

症状が出てからでは、遅いことも多々あります。
そのため未病の状態で発見し、その状態を維持させることが大切なんです。

これが健康診断を行う、大きな意味なんだよね!
何も無ければ、今までの暮らし方が良かったってことだし・・・
何かあれば、それに対応できるし!

この子も「糖尿病」を起こし、しかも「腎不全」にもなっており「腹水」までも溜まっていました。

腹水が溜まるとレントゲン写真で「すりガラス」様にみえます。

肝臓は糖の代謝に大きく関わっている臓器で、血糖値が安定するように働いています。
つまりフードを食べた後に血糖値が高くならないように、お腹が減ったときに血糖値が下がらないようにしています。

もうチョット詳しく説明すると・・・

フードの中の糖質が消化されると、ブドウ糖になります。
このブドウ糖が血液中に取り込まれると、ブドウ糖は肝臓の門脈という血管から肝臓の中に入っていきます。
それと同時に膵臓から分泌されたインスリンが、門脈から肝臓へと送られていきます。

肝臓に入ってきたブドウ糖は全身に送られたり、グリコーゲンとなり肝臓に蓄えられます。
全身に送られたブドウ糖はインスリンの働きにより、カラダや脳を動かすエネルギー源となります

このように血液中のブドウ糖は、肝臓でグリコーゲンになったり筋肉の中に取り込まれるため、食後であっても血糖値が異常に高くはなりません。
しかし肝臓が不調になり肝臓の細胞が減ってしまうと、グリコーゲンを作る力が落ちてしまいます。
また肝臓の血液の流れも悪くなるため、インスリンが肝臓に届きにくくなります。

血糖値が高いままになってしまうと、血糖を下げようと膵臓が一生懸命にインスリンを分泌しようとします。
しかし、そのような状態が長く続くと膵臓が徐々に疲れインスリンの分泌量が落ちてきます。

インスリンの分泌量が落ちるということは、糖尿病一直線ってことじゃん!

このように肝臓と血糖には深い関係にあり、肝臓が悪いと糖尿病が起こりやすくなります。
また逆に糖尿病の影響で肝臓病が起こることもあります。

血糖値が高い状態が長期間続くと全身の細い血管が傷つき、血管が詰まったり破れたりします。

腎臓の濾過装置である糸球体は細い血管の集合体であるため、糸球体の血管がダメージを受け腎臓のろ過する機能も落ち腎不全となってしまいます。
また腎臓の機能が落ちると高血圧も起こしてしまい、腎臓の状態がさらに悪くなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

ちなみこの子は・・・・
現在、肝臓と腎臓を保護をし糖尿病のコントロールを行っています。