Dr.Nyanのすこやかコラム
飼い主様に伝えたい犬猫の病気や日常ケアについての役立つコラムをお届け♪
犬の目が腫れる・こする症例|眼瞼炎の原因・検査・治療と受診の目安

実際に来院された症例です。
「目をしきりにこすり、瞼が腫れてきた」と来院された犬。
本記事では、当院で実際に多く見られる眼瞼炎の症例をもとに解説します。
※複数の症例をもとにまとめた内容です。
瞼(まぶた)が腫れて毛が抜け、痒いのか目を気にしている。しかも眼の周りが涙で濡れている!そんな症状がみられたら「眼瞼炎」かもしれません。
飼い主
数日前から目をこすっていて、腫れてきたんです
Dr.Nyan
見せてごらん?
あらら〜目をだいぶ擦っちゃったでしょ!
眼瞼炎の可能性がありますね。原因を確認していきましょう
なるほど結膜は腫れ、瞼(まぶた)がジクジクして皮膚炎を起こしています。
瞼(まぶた)のことを眼瞼(がんけん)と言います。その瞼の一部や全体、また瞼の周辺に炎症が起こしているのが「眼瞼炎」です。

飼い主
眼瞼炎って言う名から
目の病気だって分かるけど・・・
どんな病気なのかしら?
では「眼瞼炎」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
眼瞼炎の症状
眼瞼炎とは、瞼が何らかの原因で炎症を起こしてしまう病気です。
一般的には、痒みや痛みを伴います。そのため、犬は前足で目の周辺をしきりにこするようになります。
悪化すると瞼やその周りに湿疹が生じたり、化膿することもあります。そのまま放置すると慢性化してしまい、症状が悪化してしまいます。しかも慢性化すると、治りづらくなることがあります。

眼の周囲が赤く腫れちゃってます。
目ヤニが出る
最初は目ヤニがたまったりします。時間が立つに連れ、徐々に目ヤニの量が増えていきます。その状態が続くと、目ヤニで瞼が開きにくくなったり瞼がくっついてしまいます。
瞼が腫れて赤くなる
瞼が腫れていたり、赤くなったりします。また瞼の違和感からか、瞬きの回数が増えてしまいます。また痛いのか、涙を流したりします。
目を擦る
前足で目を擦ったり掻くような仕草をします。擦りすぎると、瞼に傷を作ってしまうこともあります。また瞼がピクピクと痙攣したり、瞼や瞼の周りの毛が抜けてきてしまいます。
皮膚炎を起こす
細菌に感染してしまうと、皮膚炎を起こしてしまいます。
その結果、皮膚が化膿したり出血や瞼が分厚くなるなどの症状が見られるようになります。そのままの状態を放置しておくと慢性化してしまい、治りづらくなってしまうこともあります。

眼の周辺が腫れ、化膿している状態です。
眼瞼炎の原因
Dr.Nyan
眼瞼炎が悪化してしまう原因は、擦って感染を起こしてしまうからだよ!
細菌感染や真菌感染によるもの
涙や擦ったりなどして瞼が濡れたり傷が付くことにより、感染しやすくなります。その部位にブドウ球菌などの細菌や真菌(カビ)が感染して発症します。
昆虫等の刺されによるもの
瞼や目の周りは毛が薄く、蚊などの虫に刺されやすい場所です。
そのため虫に刺されることによる痒みから擦ったり、またアレルギー反応を起こしてしまうことから発症します。その部位に細菌が感染し、悪化してしまうこともあります。
疥癬やニキビダニ(毛包虫)の寄生によるもの
疥癬やニキビダニ(毛包虫)などの寄生虫が感染することにより発症します。その部位に細菌が感染してしまうと、症状が悪化してしまいます。ニキビダニ症の発症には、免疫状態や基礎疾患が大きく関わっていることもあります。
角膜や結膜の異常によるもの
逆さまつげやドライアイなど目の病気が原因となり、発症することがあります。

涙の出る量(ドライアイ)の検査(流涙量検査)をしています。
免疫介在性によるもの
免疫とは、体を守るために備わっている機能です。その免疫が過剰に働きすぎ、自己の組織を攻撃し発症している状態です。
眼瞼炎の主な治療法と費用

飼い主
治療に際しては、原因を確認のための検査を行うこともあります。
目の周りに起きた炎症は、痒いものです。そのため、瞼をかき壊してしまわないよう注意する事が大切です。
眼瞼炎を起こした原因により、治療を行います。目の周りをきれいにし、眼瞼炎を引き起こしてしまった他の病気も治療します。また犬が目をこすらないようにすることも、大切です。
細菌感染や真菌感染
細菌の感染では抗菌薬の軟膏や点眼薬、また場合によっては抗菌薬を飲ませます。真菌(カビ)の感染では、同様に抗真菌薬を使います。
場合によっては、細菌や真菌の培養検査を行い治療に使用する薬を選びます。
Dr.Nyan
確認が終わったら本格的に治療をしていきます。
昆虫等の刺され
蚊などの虫に刺されアレルギー反応を起こし場合には、消炎剤で炎症を抑えます。また細菌の感染を伴えば、抗菌剤を使用します。
疥癬症、毛包虫症
疥癬症、毛包虫症などの寄生虫が感染した場合には、寄生虫に対する薬を使います。また細菌感染を伴えば、抗菌剤を使用します。
角膜や結膜の異常
逆さまつげや結膜炎、ドライアイなどが原因となってる場合には原因を治療します。逆さまつげは抜いたり、また点眼薬を使用します。
免疫介在性による
上下の瞼に同時に発症したり、瞼全体に起こります。免疫介在性が原因で発症した場合には、免疫抑制剤を使用します。
免疫介在性で発症した眼瞼炎は、投薬を中止すると再発することがあります。そのため、場合によっては投薬を一生治療を続けなくてはならないこともあります。
擦るのを防御する
すべての治療通じることは、目を擦らせないという事です。治療成績を上げるためにも悪化防止のためにも、エリザベスカラーを装着することがあります。
治療費

飼い主
気になるニキビダニの治療費は幾らくらいでしょう?
感染の度合いや使用する薬、治療期間の違いから治療費が変わります。一般的には、検査と投薬で治療費は6,000円〜10,000くらいです。
しかし寄生虫の感染や免疫介在性、また重度の皮膚炎にまでになっている場合には治療期間も長く治療費もかかってしまいます!
眼瞼炎の予防方法

飼い主
眼瞼炎は慢性化しやすいので、とにかく目の周囲を綺麗にし早めに治療を行うことが大切です。
眼瞼炎を予防するには、目ヤニは付いたら取るなど目や目の周りを清潔にしておくことです。もし目を気にしたり痒がっていたりする場合には、早めに受診し悪化しないようにしましょう。お手入れと早期発見が、何よりもの予防方法です。
Dr.Nyan
チョットした注意で予防できたり、感染拡大を防げますよ!
眼瞼炎になりやすい犬種
- 仔犬や若い犬
- 免疫力の弱い犬
- 基本的にどんな犬種でも発症する可能性があります
まとめ
眼瞼炎は犬種に関係なく、また特別な予防法もありません。そのため日ごろから、仕草には注意しましょう。皮膚炎が続くと、日々の生活にストレスが溜まってしまいます。
気になる兆候が見られたら、ご相談くださいね。快適な暮らしができるように、スタッフ一同お手伝いします!
筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

本記事は、佐倉市で犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。
これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。
本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。