佐倉市の動物病院なら若山動物病院|千葉県佐倉市にある犬猫が病気にならない「未病」の領域に特化した動物病院

  1. ホーム
  2. Dr.Nyanのすこやかコラム
  3. 【急性膵炎】犬の急性膵炎とは?症状や治療法を解説

Dr.Nyanのすこやかコラム

コラム記事検索

【急性膵炎】犬の急性膵炎とは?症状や治療法を解説

食欲が落ちて、元気も無い・・・
しかも吐き気や下痢、血便にまでなってしまった!そんな症状がみられたら急性膵炎を引き起こしているかもしれません。

せんせい〜急にお腹痛い!すっごく痛い!!
しかも気持ち悪くてゲロゲロだし、ウンチもピーピー
どうにかして〜ッ!

それって、ひょっとして急性膵炎かもしれないよ!
調べて、ちゃんと治そうね!

膵臓の病気と言うと「糖尿病」をイメージする人は多いと思います。でも実は、犬にとっては糖尿病よりも身近な膵臓の病気は膵炎です。

臓器の位置

膵臓はお腹の右上、胃と十二指腸に寄り添うような感じで存在します。

急性膵炎は発生率が高く生死にかかわるし、治っても繰り返し再発する病気なの。では、犬の急性膵炎の原因と対処法など、Dr.Nyanがわかりやすく説明しますね!

目次

急性膵炎の症状

犬の急性膵炎の特徴的な症状は、激しい吐き気と腹痛です。また下痢や鬱、虚脱などの症状が見られることもあります。

それでは一緒に急性膵炎の症状を確認していきましょう。

吐き気や下痢など体調不良を起こす

膵炎で最初に見られる主な症状は、吐き気と下痢です。しかも突然に幾度も繰り返し吐きます。

粘膜便の様子

透明のゼリーのような粘液が混じったウンチが出ています。

軽症の場合には、軽い腹痛にとどまる程度で命に関わるようなことはありません。しかし軽症だからと安心していると、重症化してしまうこともあります。

そのため、治るまでは気が抜けない病気です。また重症になると、合併症により亡くなることもあります。

祈りのポーズをする

伏せの姿勢で、お尻だけ持ち上げる「祈りのポーズ」と呼ばれる姿勢をします。

祈りの姿勢の様子

お尻を高く持ち上げた祈りの姿勢の様子です。

これは、お腹が床に接するとお腹に激しい痛みを感じることによります。また背中を丸めて、お腹を抱えるような姿勢をとることもあります。

多臓器不全を起こす

多臓器不全とは、体にとって重要な働きをしている複数の臓器に影響を及ぼし、その臓器が働かなくなる状態を言います。

多臓器不全は命にかかわる状態です。例えば肝臓は肝不全に腎臓は腎不全に心臓は心不全に、それ以外にも呼吸器、消化器なども同時もしくは連鎖的に働きが低下してしまいます!

膵炎を起こすと膵臓の炎症が周囲の他の臓器にまで広がり、その部位にダメージを与えてしまいます。もし膵臓に近い肝臓や腎臓に炎症が起こると、尿毒症、黄疸などの症状が出てきます。

場合によっては呼吸の状態も悪化なども起こり、危険な状態になることもあります。

また全身の血管の中に小さな血栓が作られ血管の中で詰まるDIC(播種性血管内凝固:はしゅせいけっかんないぎょうこ)と言われる状態になってしまいます。

この状態から「多臓器不全」を起こし、亡くなってしまうことも多々あります。

急性膵炎の原因

急性膵炎が起こる明確な原因は、よくわかってはいません!しかし急性膵炎を起こしやすい原因は、少しわかってきています。

ヒトでは急性膵炎を起こす原因は飲酒って言われるけど、まだ犬ではよくはわかってはいないんだよ!
じゃ一緒に確認していきましょう。

フードの影響

脂肪の多いモノを食べ過ぎや肥満になると膵炎を引き起こしやすいと言われています。

太った犬の様子

チョット太ってしまった犬です。

その理由は、脂肪の多いモノを食べると血液中の脂肪量が増えて膵臓内の血管が詰まりやすくなります。その結果、膵臓の組織に血液が届かなくなり、トラブルを生じ炎症を起こしてしまうといわれています。

代謝異常を起こす病気によって引きおこす

副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症糖尿病などのホルモンの病気や、心臓病や腎臓病と関係があると言われています。また飲んでいる薬の影響からとも言われたりします。

急性膵炎の主な治療法と費用

治療をする上で、急性膵炎と似たような病気である腸閉塞や胆囊疾患などと間違わないようにしないといけません。そのために血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを併せて行います。

また膵炎が起きていることを確定するため「膵特異リパーゼ」の検査を行います。

急性膵炎は、とってもお腹が痛いので検査には十分に注意して行ってます!

輸液(静脈点滴)を行う

輸液は膵臓に炎症を起こさせる物質を薄め、膵臓に流れる血液の量を維持させます。

その他にも輸液には吐き気と下痢からの脱水改善にも効果があるため、輸液は急性膵臓を治すのに一番大切な治療とも言えます。

~Dr.Nyanポイント~
膵臓が膵臓自身を消化する?!

膵臓は、タンパク質を分解し消化する膵液(消化酵素)を分泌している臓器です。膵臓自身もタンパク質で出来ていますが、膵臓が健康な状態であれば自らを膵液で消化しないような仕組みになっています。

しかし膵炎を起こすと、この機能に障害が起こり膵臓は自らの膵液で膵臓自身を消化し始めます。もし膵液が膵臓から漏れ出てしまうと、膵臓の周囲の臓器までが膵液により消化されてしまいます。

膵炎の治療は、この膵臓自身の消化を食い止めることが重要になります。そのため輸液を行い、膵液による膵臓の組織の消化を抑える治療を行います。

膵炎の治療薬などをつかう

吐き気を抑えるための薬や、痛みを和らげるための薬を使用します。最近、膵炎の治療薬である、犬用の「ブレンダZ」が発売されました。

ブレンダZの様子

急性膵炎の治療薬である『ブレンダZ』です。

この「ブレンダZ」は『膵炎急性期用抗炎症剤』として出された初めての膵炎の治療薬です。

絶食絶水を行ったのち低脂肪食を使う

膵臓を休めるために、最初は絶食・絶水を行います。

治療が進むにつれ、低脂肪食による食事療法を始めます。その際に自力で食べない場合には、強制給仕により栄養管理をしっかりと行います。肥満の場合にも、食事療法により減量を行います。

合併症を管理を行う

合併症を伴う場合の急性膵炎は、治癒後の再発や慢性化などにも影響します。そのため、合併症や基礎疾患の管理を行うことは非常に重要です。

合併症としては以下のようなものがあります。

  • 急性腎不全
  • 呼吸困難(肺水腫など)
  • DIC(播種性血管内凝固:はしゅせいけっかんないぎょうこ)
  • ショック
  • 糖尿病

急性膵炎は、再発したり慢性膵炎になってしまうこともあります。そのため治ったと思っても、注意し気を付けておくことが大切です。

急性膵炎の治療費

急性膵炎は重症になりやすく、入院も長期になってしまうことがあります。その分、治療費もかかってしまいますので、症状的にも経費的にも早期発見が大切です。

急性膵炎の予防方法

適正体重を維持する

肥満は、急性膵炎の発症リスクを高めると言われています。そのため、若いうちから肥満にはならないように気を付けます。適正体重の維持には、運動が重要です。

ちなみに肥満でなくても急性膵炎にかかることがありますので、注意してください!

低脂肪食を使う

膵臓に負担がかかる脂肪の多いフードやおやつを避け、バランスの良い食生活を心がけるようにします。

しかし食べる量が多くカロリーの消費量が少ないと、太ってしまいます。そのため体重の維持にもフードの管理が重要となります。

フードの様子

FOODは内容と量に注視して食べさせましょうね。

急性膵炎を起こしやすい犬種

急性膵炎の発症には年齢や基礎疾患
が関係していると言われているんだよ!

  • 肥満の犬
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ヨークシャー・テリア
  • コッカー・スパニエル
  • シェットランド・シープドッグ
  • コリー
  • 中高齢の犬
  • 脱水傾向のある犬
  • 副腎皮質機能亢進症の犬
  • 糖尿病の犬
  • 甲状腺機能低下症の犬

ドヒャ〜
皆からで太ってるって言われているし、健康診断で中性脂肪値が高いて・・・・
このままじゃ急性膵炎になっちゃうじゃん、気をつけよう!

まとめ

急性膵炎はさほど珍しい病気ではありません。しかも重症化すれば亡くなってしまうこともある病気です。

膵炎の予防は、日々のフードと体重の管理です。何か気になる兆候が見られたら、早めにご相談くださいね!