若山動物病院ブログ
【蒼太探偵シリーズ】猫がキャットタワーに登らない理由|シニア猫の関節痛と変形性関節症のナゾ

ある日、蒼太は気づきました。
いつもキャットタワーの一番上で昼寝をしていた猫の「おたま」が、最近まったく登らなくなっていたのです。
「年をとったから、もう高いところに興味がなくなったのかな?」
でも、おいどん先生は首を横に振りました。

蒼太
先生、おたまがキャットタワーに登らなくなったんです。
年のせいですか?

おいどん先生
年のせいだけ、と決めつけるのは危険です。
猫は痛みを隠す動物ですから、「登らない」のではなく、「登れない」のかもしれませんよ。
リスク先生
実は12歳以上の猫では、多くの猫に関節症の変化がみられると報告されています。
しかし猫は痛みを隠すため、飼い主さんが気づかないことも少なくありません。
猫にとって高い場所は、ただの遊び場ではありません。
- 部屋を見渡せる安全地帯
- 安心して眠れる場所
- 外の景色を眺める大切な刺激の場
でもあります。

蒼太
じゃあ、登らない猫はみんな関節症なんですか?

おいどん先生
いい質問です。肥満、筋力低下、神経の病気、心臓病、腎臓病などで体力が落ちている場合もあります。
だから原因を決めつけないことが大切なんです。
しかし、関節が痛くなると、ジャンプや着地がつらくなります。
その結果、
- キャットタワーに登らない
- 高い場所から降りたがらない
- ジャンプ前にためらう
- 降りる時にドスンと音がする
- 毛づくろいが減って毛並みが悪くなる
- トイレの縁をまたぎにくくなる
といった変化が出ることがあります。
リスク先生
キャットタワーから落ちた、着地に失敗したという場合は要注意!
関節痛だけでなく神経や筋肉の病気が隠れていることもあります!

蒼太
でも、足をひきずってはいないんですよ?

おいどん先生
猫の関節痛では、犬のように明らかに足をひきずらないことも多いんです。
だから、行動の変化を見ることが大切です。
リスク先生
「高いところに行かない」「寝てばかり」は、老化ではなく痛みのサインかもしれません!
では、シニア猫や関節症の猫では、キャットタワーを撤去した方がよいのでしょうか。
答えは、いいえです。
大切なのは、高い場所をなくすことではなく、安全に登り降りできる形に変えることです。
シニア猫のキャットタワー選び|4つのポイント
1. 1段の高さ
若い猫向けのタワーは、ステップの間隔が30〜40cmあることもあります。
関節が痛い猫には高すぎます。
15〜20cm程度の低い段差で、階段のように登れるものが安心です。
2. 足場の広さ
ステップが狭いと、着地に失敗して落下する危険があります。
四肢がしっかり乗る、広めの足場を選びましょう。
3. 滑りにくさ
木製のつるつるした面は、肉球が滑りやすいことがあります。
高密度カーペットや滑り止めマットを使うと安全性が上がります。
4. 安定性
グラグラ揺れるタワーは、猫にとって怖い場所になります。
底板が重いもの、壁や天井で固定できるものを選びましょう。

蒼太
今あるタワーも、工夫すれば使えますか?

おいどん先生
使えます。横にソファや収納ボックス、スロープを置いて、中継地点を作ってあげましょう。
タワーの下には、滑らないマットを敷くのも有効です。
ただし、柔らかすぎるクッションは足元が沈み、かえって関節をひねる原因になります。
おすすめは、ヨガマットや防音吸着マットのように、適度な硬さがあり滑りにくい素材です。
キャットタワーの置き場所で注意したいこと
日当たりの良い窓辺は猫にとって魅力的ですが、エアコンの冷風や冬のすきま風が直接当たる場所は避けましょう。
冷えは関節の痛みを悪化させることがあります。
また、窓辺に置く場合は転落防止対策も重要です。
特にシニア猫は着地能力が低下しているため、網戸だけでは危険なことがあります。
リスク先生
「高い場所を作る」だけでは不十分!
登る道、降りる道、着地する場所まで整えることが重要です!
サプリメントや食事による関節ケアも補助になります。
オメガ3脂肪酸、グルコサミン、コンドロイチン、緑イ貝(モエギイガイ)抽出成分などは、関節ケアに使われることがあります。
ただし、すでに痛みが強い場合は、サプリだけで対応せず、動物病院で痛みの治療を相談してください。
近年は、猫の変形性関節症に対して、月1回投与する注射薬などの新しい治療選択肢も登場しています。
幹細胞療法とは?犬・猫の病気に使われる理由と効果・受診の目安

蒼太
つまり、キャットタワーに登らないのは、猫からの小さなSOSかもしれないんですね。

おいどん先生
その通りです。猫は言葉で“痛い”とは言えません。
だからこそ、いつもと違う行動に気づくことが大切です。
動物病院に相談したいサイン
- キャットタワーに急に登らなくなった
- ジャンプを嫌がる
- 高い場所から降りたがらない
- 毛づくろいが減った
- 階段や段差を避ける
- 寝ている時間が急に増えた
よくある質問
Q1. 猫が急にキャットタワーに登らなくなりました。病気ですか?
関節症、肥満、神経疾患、心疾患などが隠れている場合があります。
Q2. キャットタワーは撤去した方がいいですか?
撤去ではなく、安全に登れる環境へ改善することが大切です。
Q3. 猫の関節症は治りますか?
完全に元へ戻すことは難しいですが、体重管理や環境改善、治療によって生活の質を維持できます。
Q4. 猫は何歳頃から関節症になりますか?
加齢とともに増加し、特に10歳を超える頃から多くみられます。
ただし若い猫でも肥満や外傷などが原因で関節に負担がかかることがあります。
まとめ
猫がキャットタワーに登らなくなった時、単なる老化や気分の問題とは限りません。
- ジャンプしない
- キャットタワーに登らない
- 高い場所から降りたがらない
- 毛づくろいが減る
- トイレの縁をまたぎにくくなる
このような変化は、関節痛のサインかもしれません。
高い場所を取り上げるのではなく、低い段差、広い足場、滑り止め、中継地点を用意して、安全に楽しめる環境へ変えてあげましょう。
気になる変化がある場合は、早めに動物病院で相談してください。
探偵蒼太シリーズ

犬や猫の「吐く・下痢・食べない・元気がない」など様々な症状から原因、受診の目安など、病気を探る探偵蒼太シリーズです。
中学2年生の「蒼太」と獣医師の「おいどん先生」、蒼太の妹の「結衣」そして「リスク先生」が、受診の目安や危険なサインをわかりやすく解説します。
【犬編】
・犬の下痢は大丈夫?原因・危険な症状(血便・水様便)と受診の目安
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・犬の治らない下痢、お腹の病気じゃなかった?原因は副腎腫瘍だった
・犬の歩き方がおかしい?前足のびっこは危険?原因と受診の目安
・犬の歩き方がおかしい?後ろ足のびっこは危険?原因と受診の目安
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・春は要注意?猫の体調不良と免疫が乱れる原因と守る生活習慣
・猫が食後すぐ吐く?それは吐出かも|原因・受診の目安・嘔吐との違い
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・幹細胞療法とは?犬・猫の病気に使われる理由と効果・受診の目安
・犬と猫はどうして座り方が違うの?理由と見分け方