Dr.Nyanのすこやかコラム
飼い主様に伝えたい犬猫の病気や日常ケアについての役立つコラムをお届け♪
老犬の介護⑤:老犬の夜鳴きを防ぐには
夜鳴きがひどくて、
で家族の皆んなが寝不足気味になって・・
そうですよねぇ〜夜鳴きはとても大変ですよね。
でも夜鳴きをするって、何か原因があるんですよ!
毎日のように夜鳴きをされると、飼い主さんたちご家族の皆さんは徐々に疲れが出てきてしまいます。また寝不足を起こして、生活に支障をきたすことも少なくありません。
本当に、夜鳴きって大変ですよね!でもその夜鳴きは、本当に痴呆からなのでしょうか?
実は、痴呆とは関係なく夜鳴きをしていることもあります。では一緒に夜鳴きの原因などを、確認していきましょうね!
老犬の夜鳴きの原因と対策
多くの飼い主さんは、犬が夜鳴きをすると鎮静剤や睡眠薬などを欲しがる傾向にあります。また飼い主の要望に対し、薬を処方する先生もいます。
ただ投薬は痴呆そのものを改善するのではなく、「夜鳴き」などの症状を抑えるものです。しかも薬を使うことが引き金となりボケの進行を早め、結果的には痴呆が悪化することがあります。
夜鳴きが始まると大変です!
『夜鳴き=痴呆』では無いケースも多々あります。まず「夜鳴きかな?」と思うようなことがあったなら、以下のことを行ってみて下さい。夜鳴きが減ることもあります!
- コミュニケーションの機会を増やす
- 寝床は低反発マットにする
- 体が冷えないように暖める
- マッサージを施す
- EPA、DHA、SAMeなどのサプリメントを使う
- 早期から老齢管理をしている子に夜鳴きは少ない
痛みが原因の夜鳴き
関節や筋肉などの痛みを訴えて、鳴いているかもしれません。もし関節痛などの痛みなら、試しに痛み止めを飲ませてみるのも良いかもです。
もしそれで夜鳴きが減るようなら、痛み止めの効く部分の痛みが夜鳴きの原因です。だからと言って、痛み薬を優先させてしまってはダメですよ!
薬を使用すると、痛みは楽にはなります。しかし、薬を飲ませるだけが痛みを取る方法ではありません。まず、痛い部分を確認して下さいね!
そして痛い部分が冷えないようにしたり、患部を温めることも治療の一つです。このように工夫をし手当をしてあげれば、さらに痛みが楽になるはずです。場合によっては痛み止めを飲まなくても良い場合もあります!
痛いと言えば、歯が痛い場合も結構多いんですよ!いわゆる歯周病からの痛みです!夜鳴きしている場合には、口の中も確認して下さいね。
体の冷えが原因の夜鳴き
体が冷えると眠りに入りにくくなりますし、眠りも浅くなります。それが原因で、夜鳴きををすることがあります。
シニア犬は血液の循環も悪くなっているので、体温が低下しやすいことがあります。事実、寝床を温めたら夜鳴きは減ったことがあります。
寝床が原因の夜鳴き
また寝床の不都合から、夜鳴きに至った場合もあります。
この場合には寝床を低反発マットなど、寝心地の良いものにしたら夜鳴きが減りました。これは寝床が固かったのか、ユックリと眠れなかったのでしょうね!
ふかふかの布団は寝心地が良いよ。
ヒトでも固い布団や冷たい布団は、寝心地が悪いですよね!特に皮下脂肪も少なく痩せている場合には、その傾向が強いと思われます。
お腹のガスが原因の夜鳴き
高齢になると腸の運動機能の低下や水分不足から、便秘になることもあります。
また椎間板ヘルニアや変形脊椎症などからの腰痛により、ウンチをするときに踏ん張りがきかなくなります。そのため便秘になってしまいます。
そんなことから、ウンチが溜まるだけでなくお腹にガスが溜まり腹痛を起こす子もいます。
事実、お腹を手の平で優しくマッサージしたり、便秘に効くツボを刺激したら夜鳴きが減った子もいます。
お腹のマッサージを行なっている様子です。
お腹を触られるのを嫌がる子には、後背部に温タオルや温灸などを当てるのも効果があります。日頃からスキンシップを兼ねてマッサージを施すのも、お勧めです。
寂しさが原因の夜鳴き
寂しいからと、鳴いていることもあるようです。事実、寝床を居間に移したら鳴き声が小さくなった子もいます。
ただ、犬のいる場所に様子を見に行くだけでは、ダメなようです。このような場合には、家族の近くに居ることが必要と思われます。
老犬の夜泣きと痴呆との関係
なぜ夜鳴きをするのか、はっきりとした原因とメカニズムは明らかではないようです。しかし犬の痴呆の治療に、魚介類に多い不飽和脂肪酸(EPA、DHA)を与えると良いとされています。
実際に痴呆を起こした日本犬系のEPA、DHA量を調べた結果、健康な子の約3分の1程度であったことがわかっています。また交感神経の機能が明らかに低くなっていることも、判明しています。
このことからも不飽和脂肪酸の低下を防げぐことができれば、認知能力の低下にも効果があることがわかります。
日本犬に痴呆が多いのは、昔と今との食の変化が考えられます。それは日本は四方を海に囲まれ、動物性蛋白質は魚介類から摂取していました。
当然、日本人と一緒に生活を共にしてきた日本犬は動物性蛋白質は魚介類から摂取してました。ところが現在はドッグフードが主流となり、その動物性蛋白質は牛や鶏などが原料となっています。
そのため日本犬には不飽和脂肪酸が足りない、そして老化に伴い脳にトラブルが起こってしまうとされています。
このことは日本犬だけではなく、他の犬種にも言えそうです。事実、他の犬種でも不飽和脂肪酸(EPA、DHA)を与えると痴呆の症状が改善されたこともあります。
痴呆症を知る
シニア犬の体が衰えていくのと同じように、脳にも老化はやってきます。進行すると、認知機能障害症候群という病気になります。この病気はヒトでいうアルツハイマー症候群、つまり痴呆症です。
物忘れがひどくなったり、方向感覚がつかめなくなったり……
ひどい場合には、悲しいことですが家族の顔でさえわからなくなってしまいます。
痴呆症になってしまうと、介護をするのもとても大変になってしまいます。もし愛犬に以下のような症状があらわれたら、獣医さんに健康診断をしてもらいましょう。
- 睡眠時間がふだんより多くなる(もしくは少なくなる)
- 夜中に吠えたり、フラフラと歩き回る
- 何もないところを見つめている
- よく知っている場所で迷ったり、出口がわからずに立ち往生する
- 狭いところに頭を突っ込む
- 食事をあげても、すぐにまた要求する
- トイレ以外の場所で排便する
- 名前を呼んでも反応しない
- 飼い主や家族のことを忘れてしまう
痴呆症は日本犬に多い傾向にありますが、他の犬種でも見られます。また老齢になってからではなく早期から見られることもあり、年齢的にも関係ない部分があります。
気がついた時には症状が出てしまっている、そのような例が多いのが痴呆症です。症状が出てしまうと大変ですから、早めに見つけ出すことが大切です。
慢性的なストレスは痴呆症の発病を早める
また、慢性的なストレスが発病を早めるとも言われています。そのため普段の生活の中で、愛犬にストレスをためないように心がけましょう。
また予防には、適度な緊張を与えることも脳への刺激となり効果的です。
例えば、
- 「おすわり」とか「待て」など子犬の頃に行った躾を再度行う
- 新しく何かを覚えさせてみる
- 旅行に連れて行くなど五感を鈍らせないように刺激を与える
仔犬の時に習ったことを思い出させてあげてます。
まだまだあると思いますが、その子にあった刺激を考えてあげましょうね!
痴呆症の症状を知る
長寿命化に伴い、犬にも痴呆が増えています。一般的に13歳ごろから始まります。
典型的な症状として、
- 昼夜の逆転
- 夜鳴き
- トボトボ歩き
- いくら食べてもやせる
- 飼い主の呼びかけに無反応
- 前進ばかりで後退できない
などが見られます。
痴呆犬は室内を徘徊したり、夜鳴きをします。徘徊では障害物に突き当たると立ち往生し、不安にかられて鳴きます。
そのような場合には、お風呂のマットをつなぎ合わせて円形サークルを作ります。その中に入れておくと縁に沿って歩き続け、疲れたらそのまま眠るため鳴き騒ぎを軽くできます。
また日中は屋外に出して、十分な日光浴をさせてあげます。その結果体内時間が元に戻り、昼夜の逆転が改善されることもあります。
痴呆症改善に大切なのはボディケア
ボディケアを行うにしても、老齢になってでは犬にも戸惑いが出てしまいます。そのようなことを防ぐためにも、子犬のころから十分なスキンシップをすることが大切です。
まずは体中どこでも触らせてくれるようにする、ことから始まります。
日常のケア
ブラッシングを行う場合には、最初は短時間で行います。その際に押さえつけたり毛を引っぱったりなど、無理に行わないようにしょう!水を使ったシャンプーは、最後のワクチンが終わった2週間後ぐらいからにしましょう。
耳そうじは綿棒でそっと耳の中をふき取る程度に。
爪切りは、血管を切らないように注意。白い爪は血管がピンク色に透けて見えますが、黒い爪の場合は少しずつ切り進めること。切断面の角にやすりをかけて仕上げます。
歯磨きは、順を追って慣れさせます。
最初はあごや口のまわりをなでる→口の中に指を入れてみる→ガーゼを巻いた指で、歯の表面や歯茎をマッサージ→歯磨きに抵抗がなくなったら、ペット用の歯ブラシで、本格的な歯磨きを開始してください。
定期検診
犬も7歳を過ぎると、様々な病気にかかりやすくなります。
犬が歳をとるスピードは人間の4倍以上。病気になれば、その分、進行も速いといえます。病気の早期発見・早期治療のために、年1~2回できれば2回ほど健康診断を受けるようにしましょう。
動物病院で行われる検査には、寄生虫の有無や便への出血を調べる便検査。腎臓病や尿石症をチェックする尿検査。
血液検査には、赤血球・白血球・血小板の数・量を調べる一般検査、各臓器の機能異常を調べる生化学検査、フィラリアやバベシア原虫の有無を調べる寄生虫検査があります。
さらに気になる症状がある場合は、獣医師の判断によって、レントゲン検査や超音波検査なども行われます。
【老犬の介護・参考記事】
老犬の介護①:【前編】老化のサインに気づいてあげよう
老犬の介護②:【後編】老化のサインに気づいてあげよう
老犬の介護③:老犬の長生きの秘訣を知っておこう
老犬の介護④:老犬介護に疲れた人へ。介護を「快互」にするための心構えとアドバイス
老犬の介護⑤:老犬の夜鳴きを防ぐには