佐倉市の動物病院なら若山動物病院|千葉県佐倉市にある犬猫が病気にならない「未病」の領域に特化した動物病院

  1. ホーム
  2. Dr.Nyanのすこやかコラム
  3. 老犬の介護①:【前編】老化のサインに気づいてあげよう

Dr.Nyanのすこやかコラム

コラム記事検索

老犬の介護①:【前編】老化のサインに気づいてあげよう

年をとるって嫌よね!
でも老化って、なんなのかしらね?

「老化」とは、加齢に伴い体の機能が衰えていくことなんです。
だから悲しいことに・・・避けることができないんだよ!

年齢は同じなのに見た目も動きも違う。

これは老化の進む速さが、固体個体によって違うからです。つまり「老化」には個体差があって、早く歳をとってしまう個体といつまでも若く歳をとらない個体があると言うことなんです。

「老化」の個体差は、持って生まれたものも多少はあるとは言われます。しかし老化の進む大きな差は生活習慣や環境によるものなんです。

では老化のサインとは、どんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!

目次

老化のサインに早く気が付くことの大切さ

老化を止めたり若返えることは出来ませんが、老化のスピードを遅らせることはできます。
そのためには『老化のサイン』に早く気がつき適切に対処することが、とても重要になります。

老化の進むスピードを少しでも遅く!
そして健康寿命を延ばすには、どんな老化のサインがあるかを知ることだよ!

老化のサインは、日常生活での些細な動きなどの中に隠れています!

この頃、なんか体の動きが昔と違う気がする・・
そのようなことはありませんか?
下の【動きの違いのチェック項目】の中に、思いつくような項目はありませんか?

  • 胸回りは痩せていないのに、お尻周辺の痩せが目立つようになる
  • 後ろ姿を見ると「ぁぁお尻が小さくなったな」と感じられるようになる
  • 「どっこいしょ~っ!」といった感じで、起きあがりの時に腰が重たい感じになる
  • 座る時は「よっこいしょ~」となる
  • 歩く時に頭が下がる、背中が落ちる、もしくは背中が丸い
  • 散歩の時、勢い(引っ張らなく)がなくなる
  • 前足は歩幅も大きく動かしてるのに、後ろ足はトボトボとした感じになっている
  • オシッコ、ウンチをする時に、ポジションが決まるまで時間がかかる

これらの動きは、ヒトにより見方や見え方が違うとは思います。

しかし見え方が違うにしろ、シニア犬は若い時とは違う動きを必ずしているはずです。それに気が付くか、気が付かないかで生活の質は大きく違います!

ただ見え方が違うと言っても、その動きのすべてが老化現象とは限りません。例えば腰や関節の病気で、そのような症状を見せている場合もあります。

老犬の様子

見た目は老犬のようですが、動きなどは若い犬です!

犬の老化に於いて、何が病的で何が健康的なのかの判断に迷うことが多々あります。そのようなときはオジイちゃんやおばあちゃんなど、ヒトの動きと比べてみて下さい。

見え方はどうかな?
良く噛んで食べてるかな?
筋肉は落ちてないかな?
シャカシャカ歩いてるかな?

ヒトも犬も、足腰など同じところが同じように老化していきます!

当然ヒトも犬も、ある日を境に突然に老ける訳ではありません!毎日、徐々に徐々に少しずつ少しずつ変化していきます。そのため老化も病気と同じように、早く見つけられれば見つけたほど早く対処することが出来ます。

歩き方を見ても、歳を取っていても歩くのが速い犬もいるし若くてもゆっくりな犬もいます。見た目もそうですが、実際には体の内面の老い方も個体差があってバラバラなはずです。

だからこそ老いの兆候に早く気付いてあげることが、とても大切になります。

元気な老犬の様子

見た目は超元気な老齢犬です。

生きていくためには食べて、ウンチやオシッコをして、眠る必要があります。
また、同じ姿勢を長時間続けることは出来ません。

そうです!
生きていくには快食、快便、快眠そして「適度な運動」が必要です!

愛犬の老化に早く気付くには、触れて見つめ合うことが大切です。見つめ合えば見た目の変化が、手で触れれば体の変化が確認出来ます。

シニア犬で特に気を付けなくてはいけないのが、以下の四つの病気です。

  • 歯周病
  • 心臓病
  • 骨・関節疾患
  • 甲状腺機能低下症

老化のサイン①口臭

老化のサインの中では、一番気が付きやすいサインだよ!
口の中には歯石がいっぱい、しかもとっても口臭が・・・
見た目でも臭いでも、直ぐに異常がわかるサイン!

歯周病の様子

歯石がいっぱい付いて、口臭もすごい状態です!

気を付けた方がよい病気は『歯周病』

シニア犬の約8割が歯周病に罹っていると言われています。

歯周病になる前の健康な口の中は、引き締まったピンクの歯肉に白い歯がしっかりと支えられています。
これに「歯垢」がつきはじめると、口臭が出始めます。

「歯垢」は粘着性で細菌を含んだ無色の膜で、これが固まると「歯石」となります。
「歯石」は歯肉に炎症を起こします。
この状態を「歯肉炎」とよび、歯周組織を破壊し口臭が激しくなります。

「歯周炎」が悪化すると「歯周ポケット」が出来てきます。
「歯周ポケット」とは歯肉と歯根の間のすき間の事です。
このポケットの中に歯周菌が増え、その結果「歯周病」を起こし歯がガタツキ抜けてしまいます。

このように、歯にたまり続けた歯垢や歯石は、細菌のすみかとなり歯周炎の原因になります。
歯周病を起こすと、歯肉の腫れや歯肉の痩せ、赤み、出血、口臭、痛みなどの症状が見られます。
そんな口から舌を出し、あなたをペロペロと舐めてるんですよ…

当然ですが、歯周病を起こすと歯が痛いので食欲が落ちます。
また水を飲むのに舌を動かすのも、辛いことでしょう。

お腹が減っても歯が痛くて食べられない、喉が渇いても水が飲めないなんて可哀想ですよね。
そんな生活してたら、体力も低下してしまうでしょう。

しかし歯周病の持つモノは、それだけでは済まない奥の深い恐い病気なのです。

口の中にクニャクニャとヘビみたいな動きをする歯周菌がいます。

歯周病を起こすと、傷ついた歯肉の血管から歯周病菌が入り込みます。そして血液の流れにのった歯周病菌は脳や腎臓、心臓、肺、関節へと運ばれていきます。その結果、様々な病気を引き起こし健康に重大な影響を与えてしまうのです。

歯周病の予防は『歯磨き』が大切

歯周病の予防は、当然のことですが毎日の歯磨きです。

シニア犬になってから困らないためにも、若い頃から歯磨きの習慣をつけておく事はとっても大切です。

歯磨きの真の目的は、歯石が付かないようにすることではありません。
口に中に住む歯周菌を、少しでも減らすことなんです!

歯磨きの習慣の無いシニア犬では、歯磨きはとても大変な事がほとんどです。そんな歯磨きを嫌がる仔には、デンタルスプレーなどのデンタルケアー用品などもあります。また口に中の免疫力を上げるものもありますので、ご相談下さいね!

歯磨きの様子

健康の維持のために歯磨きを行ってます!

愛犬の口の中を清潔に保つ手助けは、飼い主であるあなたの愛情からです。

老化のサイン②関節の衰え

ヒトも50歳を過ぎると、膝の関節が痛むとか言いますよね!そして階段の昇り降りや立ったり座ったりがつらい、重いものを持つと痛む、なんて事があります。

この関節の痛みは、老犬でも同じことが言えます!

老化のサインの2つ目は、歩き方!
ヒトでも歳をとると感じる足腰の衰え、これは犬でも同じでだよ。

老化に伴い、膝の関節の軟骨組織の構造と組成に変化が起きてしまいます。
場合によっては、腰にトラブルを起こしてしまうこともあるでしょう!

そのため関節がスムーズに動かなくなり痛む、誰でもが歳をとると感じる「老化のサイン」です。

気をつけた方がよい病気は「骨・関節疾患」

老化とともに犬もヒトと同じように、足腰を痛がるようになります。

  • 胸回りは痩せないのにお尻周辺が痩せた
  • 後ろ姿を見ると「お尻が小さくなったな」
  • 前足は歩幅も大きく動かしてるのに
  • 後ろ足がトボトボとした感じになっている
  • 立ち上がる時に「どっこいしょ~っ!」
  • 座るまで時間がかかり座る時は「よっこいしょ~」
  • ソファーや高いところに上れない

このようなことがありませんか?愛犬を見て「あれっ?」っと思うことがありませんか?

腰の大きさの違いの様子

老化に伴いお尻が小さくなっていきます!

【参考】
お家de Check:
老化は後ろ足から【1】
老化は後ろ足から【2】
老化は後ろ足から【3】

犬も椎間板ヘルニアになったり、骨関節炎や変形脊椎症、変形関節症になります。それも皆さんが思う以上に、痛みに苦しんでいるシニア犬が多いのです。

「頭が下がり背中が丸くなって歩いている」シニア犬を見かけた事はありませんか?

そんな姿を見て、どこか痛いのかなって感じるう人は少ないようです。足を引きずるなどの症状は、もう重症です。関節の曲げ伸ばしまでが困難になり、最終的には、歩くことを拒み、寝たきりの生活になっていきます。

老齢が原因となる関節の障害は、発症すると治ることのない病気です。そのため少しでも早く発見し、進行を抑えるために適切な処置や治療を行わないと取り返しのつかないことになります。

骨・関節疾患の予防は「適度な運動」と「食事管理」が大切

骨・関節疾患を予防するには、若いときからの適度な運動と食餌の管理です。太らせずに筋力を付けておく体重管理が必要になります。

肥満させないと言うことで、運動もさせずに減量を行えば、筋力の無いメタボのシニア犬になってしまいます。また成長期の過剰なカルシウムの補給や過度な運動は骨に良い影響を与えません。

骨関節炎の様子

膝を守るために装具を付けたら楽に歩けるようになりました。

関節に負担をかけるフローリングや固い床は避け、適正な運動を続けて筋肉を落とさないようにします。

痛みの症状緩和や痛みをコントロールのために消炎鎮痛剤を投与します。また軟骨の摩耗防止や修復作用のある、グルコサミンやMSMなどを含むサプリメントの使用します。

温浴、温灸、ヒートパック、マッサージを行い、様子を見ながら段階的に運動量を増やしていきます。シニア犬との間の限られた時間を有効に過ごすため、家庭で出来る処置法を取り入れることが大切です。

『老犬の介護②:【後編】老化のサインに気づいてあげよう』に続く

【老犬の介護・参考記事】

 ①:【前編】老化のサインに気づいてあげよう
 ②:【後編】老化のサインに気づいてあげよう
 ③:老犬の長生きの秘訣を知っておこう
 ④:老犬介護に疲れた人へ。介護を「快互」にするための心構えとアドバイス
 ⑤:老犬の夜鳴きを防ぐには