Dr.Nyanのすこやかコラム
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犬の下痢は大丈夫?危険な症状・血便の見分け方と受診の目安

「愛犬が急に下痢をしてしまった……。お腹が痛そうな様子を見ると、胸が締め付けられるように不安になりますよね。
『しばらく様子を見ても大丈夫?』 『それとも、今すぐ夜間でも病院に連れて行くべき?』
犬の下痢は、おやつの食べすぎといった軽いものから、命に関わる重大な病気のサインまで原因はさまざまです。言葉を話せないワンちゃんだからこそ、飼い主さんの迅速な判断が健康を守るカギになります。
本記事では、これまで多くのワンちゃんを診察してきた獣医師の視点から、『今すぐ病院へ行くべき危険なサイン』『便の色からわかる原因』『お家での正しい対処法とNG行動』をわかりやすく解説します。
愛犬の元気や食欲、そして『便の様子』を思い浮かべながら、まずは焦らずにチェックしてみてください。」

飼い主
昨日から何度も下痢をしていて、元気もなくなってきたんです…
少し様子を見ても大丈夫でしょうか?
本記事は実際の診療で経験した症例をもとにまとめています。
「昨日から何度も下痢をしていて、元気がなくなってきた」と来院された犬。
検査の結果、急性腸炎が疑われ、点滴治療を行いました。
Dr.Nyan
今回の症例のように、「ただの下痢」と思われがちなケースでも、
実際には治療が必要になることは少なくありません。
この記事では獣医師の視点から
- 犬が下痢をする主な原因
- 危険な下痢のサイン
- 便の色や状態で分かる原因
- 動物病院へ行く目安
- 家庭でできる対処
について、初めての方にも分かりやすく解説します。

飼い主
見た目だけでは分からないので、不安になります…
Dr.Nyan
特に元気や食欲が落ちている場合は、軽い下痢ではない可能性があります。
犬の下痢で危険な症状(すぐ病院へ行くサイン)
Dr.Nyan
診察していると、これらの症状がある場合は点滴や入院が必要になるケースも少なくありません。
次の症状がある場合は、早めに動物病院を受診してください。
□ 水のような下痢が続く
□ 何度もトイレに行く
□ 血便が出ている
□ 嘔吐もしている
□ 元気がない
□ お腹が痛い
□ 食欲がない
□ 子犬・老犬
Dr.Nyan
これらが一つでも当てはまる場合は、
様子を見るよりも受診を優先することが大切です。
これらの症状がある場合、
- 腸炎
- 感染症
- 膵炎
- 異物誤飲
などの病気の可能性があります。

飼い主
原因が分からないと、どう対応していいか迷います…
Dr.Nyan
原因はさまざまで、実際の診療でも複数の要因が重なっていることが多いです
犬の下痢の主な原因とは?【よくある5つの原因】
犬は人に比べて、胃腸などの消化管がとても敏感な動物です。
そのため
- 急なフード変更
- おやつの食べすぎ
- ストレス
- 誤飲
などでも腸のバランスが崩れ、下痢を起こすことがあります。
Dr.Nyan
犬は落ちている食べ物やゴミを食べてしまうことも多く、これが腸を刺激して下痢の原因になることもあります。
日常の環境にも注意が必要です。
犬の下痢にはさまざまな原因があります。
ここでは代表的な原因を紹介します。
食べすぎ・フードの変化
犬の下痢で最も多い原因のひとつです。
特に
- おやつの食べすぎ
- 急なフード変更
- 人の食べ物
などで腸が刺激されると、下痢をすることがあります。
この場合は
- 元気がある
- 食欲がある
Dr.Nyan
元気や食欲があり、下痢も軽度であれば数日で改善することもあります。
ただし、実際の診療でも「軽いと思っていたら悪化していた」ケースは少なくありません。
胃腸炎
犬の下痢で非常に多い病気です。
原因は
- 細菌
- ウイルス
- 食べ物の刺激
- ストレス
などさまざまです。
症状として
- 下痢
- 嘔吐
- 食欲低下
- 元気消失
などが見られます。
寄生虫感染
特に子犬で多い原因です。
代表的な寄生虫
などが腸に感染すると、下痢を起こします。
症状として
- 軟便
- 水様便
- 血便
などが見られることがあります。
Dr.Nyan
実際の診療でも、便検査で原因が見つかるケースが多いです
食物アレルギー
フードの成分が体に合わない場合、腸が炎症を起こして下痢をすることがあります。特定のタンパク質源(鶏肉・牛肉・小麦など)に対して免疫が過剰に反応し、腸の粘膜に慢性的な炎症が起きることが主な原因です。
特徴
- 慢性的な下痢
- 軟便が続く
- 皮膚トラブル
フード変更で改善することがあります。
内臓疾患(膵炎・肝臓病など)
次のような病気でも下痢が起こります。膵炎や肝臓の病気になると消化酵素や胆汁がうまく分泌・処理できなくなり、食べたものを正常に消化できず激しい下痢や嘔吐を引き起こします。
特に
- 高齢犬
- 元気がない
- 食欲がない
場合は注意が必要です。
血液検査や画像検査で診断します。
細菌・ウイルス感染
犬の下痢の原因として、細菌やウイルスによる感染症もあります。
腸に病原体が感染すると腸の粘膜に炎症が起こり、水様便や嘔吐などの症状が見られることがあります。
代表的な原因として
- 細菌感染(サルモネラ、カンピロバクターなど)
- ウイルス感染(パルボウイルス、コロナウイルスなど)
が挙げられます。
特に子犬では感染症による下痢が重症化することもあるため注意が必要です。
症状として
- 激しい水様便
- 嘔吐
- 元気がない
- 食欲がない
- 血便
などが見られることがあります。
細菌やウイルス感染が疑われる場合は、便検査やPCR検査などで原因を調べ、適切な治療を行います。下痢が続く場合や体調が悪い場合は、早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
特にワクチン未接種の子犬では、パルボウイルス感染症など命に関わる感染症のこともあります。
下痢が続くときに注意すべき症状

飼い主
血便が出たり、ぐったりしているときはすぐに病院に行くべきですか?
次の症状がある場合は、早めに動物病院を受診してください。
- 何度も下痢をする
- 血便が出る
- 嘔吐もある
- 元気がない
- 食欲がない
- ぐったりしている
特に 体の小さい犬や高齢犬 では脱水が急速に進むことがあります。
「ただの下痢かな」と思っていても、実際には感染症や膵炎などが隠れていることもあります。
Dr.Nyan
脱水は見た目だけでは分かりにくい症状です。ぐったりしている・皮膚をつまんでも戻りが遅い・歯茎が乾いているなどのサインがある場合は、迷わず早めに受診してください。
犬の下痢の色で分かる病気
犬の下痢は、便の色や状態から原因をある程度推測できることがあります。
実際の診療でも、飼い主さんが撮影してくれた「便の写真」が診断の大きなヒントになることは少なくありません。
ただし見た目だけで正確な診断をすることはできないため、症状が続く場合は動物病院で検査を受けることが大切です。

飼い主
便の色を見るだけで、どの程度の状態か判断できるんですか?
Dr.Nyan
色や状態はあくまでも目安ですが、特に黒い便・赤い血便・水様便は要注意のサインです。
黄色い下痢
黄色い便は、腸の動きが早くなっているときに見られます。
原因として多いもの
- 急性胃腸炎
- フードの変化
- 食べすぎ
- ストレス
比較的軽い腸炎のこともありますが、下痢が続く場合は注意が必要です。

黒い便(タール便)
黒くてベタベタした便は 消化管出血 の可能性があります。
胃や小腸で出血すると、血液が消化されて黒い便になります。
考えられる原因
- 胃潰瘍
- 重度の胃腸炎
- 腫瘍
- 異物による消化管損傷
黒い便が出た場合は、早めに動物病院を受診してください。
リスク先生
黒い便は「古い血」が混ざっているサインです。
胃や小腸から出血していることもあり、放置すると命に関わるケースもあります。
赤い血便
赤い血が混じる便は、大腸の炎症 が原因であることが多いです。
原因
- 大腸炎
- 感染症
- 寄生虫
- ストレス
特に子犬では感染症のこともあるため注意が必要です。

粘液の混じった便
便の表面にゼリーのような粘液がついている場合、大腸炎 の可能性があります。
原因
- 大腸炎
- ストレス
- 食事の変化
軽度の場合もありますが、繰り返す場合は検査が必要です。

水のような下痢(水様便)
水のような下痢は、腸の炎症が強いときに見られます。
原因
- 急性胃腸炎
- 細菌感染
- ウイルス感染
嘔吐や元気消失を伴う場合は、早めの受診が必要です。
便の色や状態は、犬の体調を知る大切なサインです。
下痢が続く場合や体調に変化がある場合は、早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
ワンポイント解説:犬の下痢で一番大切な判断

飼い主
どんな状態なら少し様子を見てもいいですか?どうしても病院に連れて行くべき基準が分からなくて…
Dr.Nyan
色や状態はあくまでも目安ですが、特に黒い便・赤い血便・水様便は要注意のサインです。
犬が
- 元気
- 食欲がある
- 下痢が1~2回
程度であれば軽い腸炎のこともあります。
しかし
- 元気がない
- 食べない
- 嘔吐もある
場合は注意が必要です。
特に
- 子犬
- 高齢犬
- 持病がある犬
では、早めの受診が安心です。
動物病院で行う検査

飼い主
病院ではどんな検査をするんですか?下痢だけでいろいろ調べるんですね…
犬の下痢の原因を調べるために
- 便検査
- 血液検査
- PCR検査
- レントゲン
- 超音波検査
などを行うことがあります。
これらを組み合わせて原因を診断します。
Dr.Nyan
便検査は、できるだけ新鮮なサンプルを来院前に採取して持参していただけると、その場ですぐに結果が分かり、原因の特定がとてもスムーズになります。
犬の下痢は何日続いたら病院へ行く?
犬の下痢で多い質問が「どのくらい様子を見ても大丈夫?」というものです。
目安として
- 1~2回の軽い下痢
- 元気がある
- 食欲がある
場合は、少し様子を見ることもあります。
しかし次のような場合は早めの受診をおすすめします。
- 下痢が2日以上続く
- 水のような下痢が何度も出る
- 血便が出る
- 嘔吐がある
- 元気がない
犬は体が小さいため、下痢が続くと脱水が進みやすい動物です。
Dr.Nyan
2日以上下痢が続く場合は、たとえ元気があっても受診をおすすめします。犬の脱水は人間よりも急速に進むため、「まだ大丈夫かな」と思ったときには手遅れになることもあります。
犬が下痢をしたとき家庭でできる対処
軽い下痢の場合は、家庭で様子を見ることができるケースもあります。
まず大切なのは 胃腸を休ませること です。
- 半日(1回分)ほど食事を抜いて胃腸を休める
- 水は少量ずつ与える
- 回復してきたら消化の良いフードを少量から与える
などで様子を見ることがあります。
リスク先生
子犬や超小型犬(チワワ・トイプードルなど)は絶食によって低血糖を起こすリスクがあります。自己判断で絶食させず、ご相談ください。
次の症状がある場合は、様子を見るのではなく受診してください。
- 水のような下痢が何度も続く
- 血便が出ている
- 嘔吐もしている
- 元気がない
- 食欲がない
- 子犬や高齢犬
犬は体が小さいため、下痢が続くと脱水が急速に進むことがあります。
自宅で確認できる脱水サイン
- 歯ぐきが乾いている
- 皮膚をつまんでも戻りが遅い
- 元気がない
- 目がくぼんで見える
「少し様子を見よう」と思っているうちに体調が悪化することもあるため、下痢が1〜2日続く場合は早めに動物病院で診察を受けると安心です。
犬が下痢をしたときNGな対応
犬が下痢をしたとき、飼い主さんが良かれと思って行ってしまう対応の中には、症状を悪化させてしまうことがあります。
特に次の対応には注意が必要です。
人の薬を与える

飼い主
ついつい家にある人用の整腸剤や下痢止めを飲ませたくなってしまいます…
人用の整腸剤や下痢止めを犬に与えるのは危険です。
犬に合わない成分が含まれている場合があり、症状を悪化させることがあります。
下痢の直後に、いつも通りの量・内容のフードをすぐに与える
下痢のときは腸が炎症を起こしていることが多いため、すぐに通常量の食事を与えると腸に負担がかかります。
軽い下痢の場合は
- 半日(1回分)ほど食事を抜いて胃腸を休める
- 消化のよいフードを少量から再開する
など、腸を休ませることが大切です。
下痢が続いているのに様子を見続ける
犬は体が小さいため、下痢が続くと脱水が進みやすい動物です。
次の症状がある場合は、早めに動物病院を受診してください。
・水のような下痢
・血便
・嘔吐
・元気がない
・食欲がない
「様子を見るべき下痢」と「すぐ受診すべき下痢」を見極めることが、犬の健康を守るうえでとても重要です。
よくある質問(犬の下痢Q&A)
犬が1回だけ下痢をした場合は大丈夫?
1回だけで
- 元気がある
- 食欲がある
場合は様子を見ることもできます。
ただし下痢が続く場合は受診してください。
犬の下痢は自然に治ることもある?
食べすぎや軽い胃腸炎の場合、自然に回復することもあります。
ただし下痢が2日以上続く場合は検査が必要です。
犬が水のような下痢をしたら危険?
急性胃腸炎のことが多いですが
- 元気がない
- 嘔吐がある
場合は早めの受診が必要です。
犬の血便はすぐ病院?
血便は腸炎や感染症の可能性があります。
特に
- 子犬
- 元気がない
場合はすぐに受診してください。
犬の下痢で病院に行く目安は?
次の症状がある場合は早めに受診してください。
- 水のような下痢
- 血便
- 嘔吐
- 元気がない
- 食欲がない
特に子犬や老犬では脱水が進みやすいため注意が必要です。
病院に来るときの準備(受診をスムーズにするポイント)
可能であれば、排泄したての便をラップに包むかプラスチック容器に入れて持参してください(乾燥したものはNG)。また、あらかじめスマホで便の写真を撮っておくと、色・状態・量を正確に伝えることができ、診察がとてもスムーズになります。
獣医師からのアドバイス

飼い主
ずっと下痢が続いています。やっぱり病院に行った方がいいですよね?もう少し様子を見ていいのか判断ができなくて…
犬の下痢はとても多い症状ですが、原因はさまざまです。
軽い胃炎・腸炎で自然に治ることもありますが、中には
など重大な病気が隠れている場合もあります。
特に 「元気がない」「嘔吐がある」「血便が出る」 場合は早めに診察を受けることが安心です。
獣医師がよく見る「犬の下痢」の原因ランキング
動物病院の診療では、犬の下痢はとても多い症状です。
実際の診療現場で多い原因を、分かりやすくまとめました。
1位 食べすぎ・フードの変化
2位 急性胃腸炎
3位 寄生虫
4位 食物アレルギー — フードの特定の成分(タンパク質など)に免疫が過剰反応し、腸に慢性的な炎症が起きることで下痢が続きます。
5位 内臓疾患 — 膵炎や肝臓の病気になると、消化液をうまく分泌・処理できなくなり、激しい下痢や嘔吐を引き起こします。
このように犬の下痢は原因がさまざまで、診察や検査で原因を確認することが重要です。
Dr.Nyan
実際の診療でも、「様子を見ていたら悪化していた」というケースは少なくありません。
今回の症例のように、早めに受診することで重症化を防げるケースも多くあります。
まとめ
犬の下痢は、食べすぎやフードの変化などの軽い原因から、腸炎・寄生虫・膵炎などさまざまな病気で起こります。
特に
- 水のような下痢
- 血便
- 嘔吐
- 元気がない
場合は、重大な病気のサインであることもあります。
犬の下痢は多くの飼い主さんが経験する症状ですが、原因はさまざまです。気になる症状がある場合は、早めに動物病院で相談することが安心です。
「様子を見るべき下痢」と「すぐ受診すべき下痢」を見極めることが大切です。
今回の症例のように、「ただの下痢」と思われがちな症状でも、重大な病気が隠れていることがあります。
筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

本記事は、犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。
特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。
また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。
これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。
本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。