【蒼太探偵シリーズ】犬の夜鳴き|認知症だけじゃない!原因・対策・受診の目安

  1. ホーム
  2. 若山動物病院ブログ
  3. 【蒼太探偵シリーズ】犬の夜鳴き|認知症だけじゃない!原因・対策・受診の目安

若山動物病院ブログ

【蒼太探偵シリーズ】犬の夜鳴き|認知症だけじゃない!原因・対策・受診の目安

犬の夜鳴きの原因を解説する蒼太探偵シリーズのアイキャッチ。探偵・蒼太が虫眼鏡を持ち、夜空を見上げて鳴くゴールデンレトリバーとともに、「犬の夜鳴き」「認知症だけじゃない!」のタイトルを配置し、原因・対策・受診の目安を紹介するイラスト

犬の夜鳴きは認知症だけが原因ではありません。
ちなみ認知症の正式な病名は、認知機能障害症候群(Canine Cognitive Dysfunction Syndrome:CCDS)といいます。

関節痛、便秘、寒さ、不安、内臓疾患など、さまざまな原因が隠れていることがあります。
特に急に始まった夜鳴きは病気のサインである可能性もあるため、原因を見極めたうえで適切に対処することが重要です。

夜11時。
蒼太家の静かな住宅街に、シロの鳴き声が何度も響いていました。

「ワン……ワン……」

ご近所の明かりも次々と消えていく中、シロだけは眠れないようです。

結衣

シロ、また鳴いてる。どうしたのかな、可哀想に……

蒼太

最近毎晩だよね。もしかして認知症なの?
ネットにも『夜鳴き=認知症』って書いてあるし…

おいどん先生

ちょっと待った。夜鳴きをする犬すべてが認知症とは限らないんだよ。
蒼太くん、結衣ちゃん、今回の事件も奥が深いぞ!

目次

犬の夜鳴きの原因|犯人は一人じゃない

犬は言葉で「痛い」「苦しい」と伝えられません。
だから鳴くことで、自分の異変を必死に知らせていることがあります。

夜鳴きの原因には、次のようなものが隠れているのです。

  • 関節炎や腰痛による痛み
  • お腹の張りや便秘(ガスによる腹痛)
  • 体の冷え(シニア期は体温が下がりやすいため)
  • 不安や寂しさ
  • 昼夜逆転
  • 認知機能障害(犬の認知症)
  • 視力や聴力の低下
  • 高血圧や内臓疾患など病気による不快感

リスク先生

⚠️ 「夜鳴き=認知症」と決めつけるのは危険!
痛みや病気が隠れていることもあります。
まずは原因を探すことが大切です。

原因特徴受診の目安
関節炎寝返りで痛い早め
便秘夜だけ苦しい数日改善しない
寒さ冬に悪化環境改善で改善しなければ
認知症昼夜逆転診察推奨
不安家族を探す長引くなら相談
犬の夜鳴きの原因

症例

当院でも15歳の柴犬で、数か月前から夜になると毎晩鳴くようになり、「認知症でしょう」と言われ紹介されました。

詳しく診察すると、重度の股関節痛がありました。
鎮痛治療と寝床の改善を行ったところ、その後、夜鳴きは大きく減りました。

夜鳴きの原因は認知症ではなく、「関節の痛み」だったのです。

蒼太

えっ!夜鳴きにもいろいろな原因があるんだ。
でも先生、さっきの症例もそうだけど、認知症って柴犬みたいな日本犬に多いってネットで見たよ?

おいどん先生

おっ、蒼太くん、いいところに気づいたね。
日本犬(柴犬、秋田犬など)では認知機能障害が比較的多いという報告があるんだ。
ただ、その理由はまだはっきり分かっていないんだよ。

日本犬では認知機能障害が比較的多いという報告がありますが、その理由はまだ完全には分かっていません。
ただ食生活や遺伝的背景、EPA・DHAの摂取量などが関係しているのではと、考えられています。

犬の夜鳴き対策|家庭でできること

原因が分かったら、その子に合った対策を考えます。
例えば、次のようなアプローチが役立つことがあります。

  • 昼間に日光浴や散歩をして生活リズム(体内時計)を整える
  • 寝床を低反発マットなど柔らかいものに替える
  • 体を冷やさないよう保温する(※火傷や火災の危険があるハロゲンヒーター等は避け、安全な暖房器具を使いましょう)
  • マッサージで血流を良くしたり、便秘に効くツボを刺激する
  • 家族の近く(玄関からリビングなど)で休める環境を作る
  • 便秘やお腹の張りがあれば改善する
  • EPA・DHAやSAMeなどのサプリメントを活用する

結衣

滑りにくい床にするってことも聞くけど……
寝床を柔らかいマットに変えただけで、夜鳴きが減る子もいるの?

おいどん先生

そうだよ!
高齢になると筋肉や脂肪が減って、骨が床に当たりやすくなるんだ。人間だって、硬い床の上じゃ痛くて眠れないよね?

蒼太

お腹をマッサージしたら楽そうだった子もいたよね。

おいどん先生

便秘やガスでお腹が痛くて鳴いている子も多いからね。
優しく手のひらでマッサージしたり、お腹を触られるのが嫌な子には、背中に温かいタオルを当ててあげるだけでも、安心して眠れるようになることがあるんだ。

薬だけに頼らない介護

夜鳴きで困ると、「眠らせる薬をください」と相談されることがあります。
確かに、心身の限界を迎えないために薬が必要になる場合もあります。

しかし、お薬は夜鳴きという症状を一時的に抑えるものであって、原因そのものを治しているわけではありません。
鎮静薬や睡眠薬は必要な場合もありますが、症状だけを抑えて原因が見逃されることがあります。
一方で、痛みや病気が原因の場合は、その治療を行わなければ夜鳴きを繰り返すことがあります。

夜鳴きという症状ではなく、夜鳴きの原因を治療することが最も重要です

まずは、

  • どこか痛くないか(関節など)
  • 体は冷えていないか
  • 便秘でお腹が張っていないか
  • 不安や寂しさはないか

など、愛犬の「不都合」を一つひとつ見直してあげることが大切です。

リスク先生

⚠️ 薬だけでは根本的な解決にならないことがあります。
生活環境を整え、一手間をかけてあげることも、治療の大切な一歩です。

蒼太

先生。
どこからが認知症なの?

おいどん先生

いい質問だね。
いくつか特徴的な症状があるんだ。

「夜鳴きがつらくて、お薬に頼るのは悪いことだ」と自分を責めないでください。
ご家族が寝不足で倒れてしまっては元も子もありません。
お薬を適切に使いながら、同時に『本当の原因』を一緒に探していくのがベストな道です。

犬の認知症(認知機能障害)のチェックポイント

高齢になると、脳も少しずつ老化します。
進行すると「認知機能障害症候群(いわゆる犬の認知症)」になることがあります。

リスク先生

夜鳴きだけで認知症とは診断できません。
・甲状腺疾患
・脳腫瘍
・高血圧
・痛み
・視力障害
・聴力障害
などでも認知症に似た症状になります。

次のような変化がみられたら、一度動物病院で相談しましょう。

  • 夜鳴きや昼夜逆転
  • トボトボと同じ場所を歩き続ける(徘徊)
  • 何もない場所を見つめている
  • 家の中で迷う、出口がわからず立ち往生する
  • 壁や家具の角で立ち止まる、前進ばかりで後退できない
  • 狭い場所に頭を突っ込む
  • 食べたことを忘れて何度も要求する(いくら食べても痩せるなど)
  • トイレを失敗する
  • 呼びかけへの反応が鈍くなる
  • 家族のことが分からなくなる

これらの症状は認知症だけでなく、視力や聴力の低下、内分泌疾患、脳疾患などでもみられることがあります。
そのため、「年齢のせい」と決めつけず、診察を受けて原因を確認することが重要です。

犬の認知症ケアと介護のポイント

認知症は完全に防げる病気ではありません。
しかし、進行をゆるやかにし、生活の質(QOL)を保つためにできることはたくさんあります。

例えば、

  • 毎日の日光浴(体内時計のリセット)
  • 無理のない範囲での散歩や新しい刺激
  • 「おすわり」「お手」など、子犬の頃の訓練を続けて頭を使う遊び
  • EPA・DHAなどの適切な栄養管理
  • 円形サークルなど安全な生活環境づくり

などは、生活の質を維持する助けになります。

認知症の犬が壁にぶつかって立ち往生し、鳴き続ける場合には、お風呂マットなどをつなぎ合わせて「円形サークル」を作ってあげるのがおすすめです。

犬の認知症(認知機能障害)の夜鳴き・徘徊対策として有効な、お風呂マットで作った円形サークルのイラスト。柴犬が行き止まりのないサークル内を安全に歩き回る様子を描いた、若山動物病院・蒼太探偵シリーズの解説画像。
【円形サークルの仕組み】
四角いサークルでは角で立ち止まりやすい犬でも、円形なら歩き続けやすくなります。
そのため認知症の犬が壁にぶつかって立ち往生するのを防ぎ、安心して歩き回ることができます。

行き止まりがないため、縁に沿ってトボトボ歩き続け、疲れたらそのままコテッと眠れるようになり、鳴き騒ぎを大きく減らすことができます。

蒼太

夜鳴きを力ずくで止めることばかり考えていたけど、本当に大切なのは『何に困っているか』の原因を見つけることなんだね。

結衣

それに、飼い主さんだけで抱え込んじゃダメだよね。事前にご近所に事情を話して理解を得たり、お互いが楽になる工夫を見つけるのが大事なんだ!

おいどん先生

その通り! 介護はこうあるべきだというルールを作らず、飼い主さんが『楽』をしながら、愛犬が快適に暮らせる方法を動物病院と一緒に見出していく。
お互いが笑顔になれる『快互(かいご)』を目指すことが、何より大切なんだ!

犬の夜鳴きで受診をおすすめする症状

次のような症状を伴う夜鳴きは、病気が隠れている可能性があるため、できるだけ早めの受診をおすすめします。

  • 急に夜鳴きが始まった
  • 痛そうに歩く
  • 食欲が落ちた
  • 発熱している
  • 呼吸が苦しそう
  • 夜鳴きが毎日続く
  • 触られるのを嫌がる
  • 排便・排尿の異常がある

犬の夜鳴きに関するよくある質問

老犬の夜鳴きは何歳頃から始まりますか?

明確な年齢はありませんが、一般的には10~12歳頃から増え始めます。
認知機能障害症候群(認知症)は高齢犬ほど発症しやすくなりますが、夜鳴きの原因は関節痛や便秘、視力・聴力の低下などさまざまです。年齢だけで判断せず、原因を調べることが大切です。

夜だけ鳴くのは認知症ですか?

夜だけ鳴くからといって認知症とは限りません。
昼間は気にならない関節痛や寒さ、不安、便秘などが夜になると強く感じられ、夜鳴きにつながることがあります。
急に始まった夜鳴きは病気のサインであることもあるため、一度動物病院で相談しましょう。

夜鳴きが始まったら、まずは何を確認すればいいですか?

まずは「痛いところ(特に関節)がないか」「体が冷えていないか」「お腹が張っていないか(便秘)」など、体に不快感がないかをチェックしてあげてください。
これらを整えるだけで夜鳴きがピタッと止まるケースも多くあります。

柴犬以外の犬種でも認知症による夜鳴きは起こりますか?

はい、起こります。
日本犬(柴犬など)に比較的多いという報告はありますが、プードルやチワワなどの洋犬であっても、高齢化に伴い認知機能障害による夜鳴きや徘徊が見られることは珍しくありません。

夜鳴きで一晩中鳴き続け、近所迷惑が心配です。受診すべきタイミングは?

飼い主さんが寝不足で限界を感じる前、あるいは愛犬の様子が「いつもと違う」と気づいた時点で、いつでもお気軽に当院へご相談ください。
原因の特定だけでなく、ご家族が少しでも「楽」をできる環境づくりを一緒に考えましょう。

犬の夜鳴きは無視してもいいですか?

夜鳴きは「わがまま」ではなく、痛み、不安、認知症、病気などを訴えているサインであることがあります。
特に急に始まった夜鳴きは病気が隠れている可能性があるため、一度動物病院で相談しましょう。

Dr.Nyanからのメッセージ

夜鳴きは「歳だから」「認知症だから」と諦める必要はありません。
原因を一つひとつ探し、痛みや寒さ、不安、便秘などを改善してあげることで、驚くほど落ち着く犬も少なくありません。

病気は、獣医師だけが治すものではありません。
獣医師とご家族が力を合わせて初めて、本当の治療になります。

私たちが原因を見つけ、ご家族が家庭環境を整える手助けをすることで、犬自身の治癒力を引き出すものです。

介護とは、ただ義務でお世話をすることではありません。
その子が何に困っているのかを理解し、お互いが楽に、快適に毎日を過ごせるよう支え合うことです。

その熱い愛情と一手間の積み重ねが、愛犬のQOLを守り、ご家族にとっても穏やかで明るいシニアライフにつながります。

私は「介護」という言葉より、「快互(かいご)」という言葉が好きです。
お互いが我慢する介護ではなく、お互いが楽になれる介護。
それが、愛犬にも飼い主さんにも「太く、長く、明るく、楽しい毎日」を届けることにつながると、私は信じています。

何か不安があれば、いつでも相談してくださいね。
「夜鳴きは歳だから」と諦めず、その子が何に困っているのかを一緒に探していきましょう。

まとめ

  • 夜鳴き=認知症ではない
  • 痛みや便秘など身体の異常が多い
  • 原因を見極めることが重要
  • 高齢犬では認知症も考慮する
  • 困ったら早めに動物病院へ相談

夜鳴きは「歳だから」と諦めるのではなく、原因を探して対処することで改善できるケースも少なくありません。
気になる症状があれば、早めに動物病院へ相談しましょう。

探偵蒼太シリーズ

このコラムの登場人物のイラスト(おいどん先生、蒼太、結衣、リスク先生)

犬や猫の「吐く・下痢・食べない・元気がない」など様々な症状から原因、受診の目安など、病気を探る探偵蒼太シリーズです。
中学2年生の「蒼太」と獣医師の「おいどん先生」、蒼太の妹の「結衣」そして「リスク先生」が、受診の目安や危険なサインをわかりやすく解説します。

【犬編】
犬の下痢は大丈夫?原因・危険な症状(血便・水様便)と受診の目安
犬が食べない?原因と危険な症状・受診の目安
犬が吐いた?原因と危険な症状と受診の目安
犬が元気がない?原因・危険な症状と受診の目安
犬の治らない下痢、お腹の病気じゃなかった?原因は副腎腫瘍だった
犬の歩き方がおかしい?前足のびっこは危険?原因と受診の目安
犬の歩き方がおかしい?後ろ足のびっこは危険?原因と受診の目安
犬の夜鳴き|認知症だけじゃない!原因・対策・受診の目安

【猫編】
猫がごはんを食べたいのに食べない原因は?口内炎の症状と受診の目安
春は要注意?猫の体調不良と免疫が乱れる原因と守る生活習慣
猫が食後すぐ吐く?それは吐出かも|原因・受診の目安・嘔吐との違い
猫がジャンプしない?原因と注意すべき症状・受診の目安
猫が水をよく飲む・おしっこが多い原因は?消える水皿のナゾ
オシッコが出ない犯人は石じゃなかった?|猫の尿道閉塞とストレスのナゾ
猫がキャットタワーに登らない理由|シニア猫の関節痛と変形性関節症のナゾ
猫のひげの役割とは?|切ると危険?平衡感覚・距離感を支える高性能センサー

【犬猫編】
犬と猫の鳴き方はなぜ違う?猫は長く犬は短い理由と声が変わる病気
幹細胞療法とは?犬・猫の病気に使われる理由と効果・受診の目安
犬と猫はどうして座り方が違うの?理由と見分け方

ブログタグ: